線引きはどこ? 「軽減税率」に揺れる外食業界

吉牛も店内で食べると税率10%、持ち帰ると5%!? 

なぜ外食業界が、軽減税率導入を恐れるのか。そのカギは、軽減税率を先行して導入した、欧州の事例にある。

欧州では、外食は標準課税、食品は軽減の扱い

付加価値税の導入では日本より早かった欧州。主要国の平均的な税率は20%前後だ。一見、高いように見えるが、実は多くの国が軽減税率を導入しており、食料品や医薬品、新聞・雑誌などは税率が低い。非課税の品目もある。食品関係の税率は表の通りだ。

だがそこでは、品目の線引きについて、あいまい、あるいは恣意的な要素が色濃くにじむ。

たとえばフランス。世界三大珍味の1つであるキャビアは、ロシアからの輸入が多く、標準税率の19.6%となっている。一方、同じ高級品でも、トリュフやフォアグラは、軽減税率の5.5%だ。これはトリュフやフォアグラを生産する国内産業を保護するためと言われている。

もっとわかりづらいのは、「外食サービス」と「食品」の区分けだ。

イギリスの場合、フィッシュ&チップスなど暖めたテイクアウト商品は外食扱いで、20%の標準税率。が、デリカテッセンなどスーパーで買うような常温の惣菜は、非課税=税率ゼロである。暖めたかどうかの違いは、「気温より高いこと」だという。

こうなると同じ商品でも、“一物二価”の事態が生じてくる。

ドイツでは、店内で食べるハンバーガーは、外食サービスとされ、標準税率の19%。かたや持ち帰りのハンバーガーは、食品になるので、軽減税率の7%だ。カナダにおいては、ドーナツが5個以下なら店内で食べ切れるので5%(標準)、6個以上なら食べ切れないので持ち帰るため、税率ゼロだ。もはやこうなってくると、線引きの根拠すら怪しくなってくる。

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