シャープ、生き残りへの"賭け" 鴻海を捨てる覚悟でサムスンへ

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ただ、条件をクリアできなかった場合でも、2行にできることは限られている。融資引き上げに走れば、シャープの資金繰りは行き詰まってしまうからだ。6月末には3600億円の融資の契約期限が来る。破綻の引き金を引きたくなければ、継続以外の選択肢はない。

9月末には2行が主幹を務める新株予約権付社債(CB)2000億円の償還も待ち受ける。シャープは現在の融資枠内で500億円程度を手当てする算段である。残り1500億円程度はシャープ自身が何らかの方法で調達するか、銀行の追加融資などに頼るよりほかはない。「1000億円規模の追加融資を想像するとぞっとする」(主力行関係者)。

2000億円のCB償還までを見据えれば、100億円程度のサムスンの出資では到底足りない。それでも「サムスンに評価してもらうことで箔がつく。資本提携は額面以上の意味を持っている」とシャープ関係者は期待を込める。

実際、昨年12月にクアルコムから最大100億円規模の出資を受けると発表したことをきっかけに株価は反転した。最安値からは2倍以上の水準で安定している。

シャープは米インテルなど、複数企業へ出資の要請を続けている。シャープの財務体質を懸念して踏み切れないでいる企業が、サムスンの出資で前向きになる可能性はある。出資先を増やすことができれば、金融機関からの新規融資を含め、資金調達の幅は広がっていく──。淡い期待を抱きながら、再建への綱渡りは続いていく。

(撮影:ヒラオカスタジオ、梅谷秀司)

(週刊東洋経済2013年3月16日号)

前野 裕香 ライター

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まえの ゆか / Yuka Maeno

1984年生まれ。2008年に東洋経済新報社に入社し記者・編集者として活動した。2017年にスタートアップ企業に移り、広報やコンテンツ制作に従事。現在はフリーランスライターとしても活動中。

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