シャープ、生き残りへの"賭け" 鴻海を捨てる覚悟でサムスンへ

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テレビ、スマホともサムスンの生産数量は膨大。一方、ビジネスの変動率は大きい。とりわけ有機ELへの投資に重きを置きたいサムスンにとって、自社の液晶ラインの増強は考えづらい。欲しいときに欲しいだけ液晶パネルを入手できるとなれば、シャープへの100億円程度の出資は高くない。

メイン2行の焦燥

「今度こそ、役員派遣に踏み切るかもしれない」(主力行関係者)。みずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行は年明け以降、とみにいらだちを募らせていた。

昨年来、2行はシャープに何度か役員派遣を提案してきた。「“人質を出そう”と申し出ているのにシャープは経営への本格介入に首を縦に振らない。それどころか融資前と比べ、対応がややぞんざいになったようにも感じる」(主力行関係者)。

2行はシャープに対し、昨年9月末に3600億円もの巨額融資に踏み切った。当初もくろんでいた、地方銀行や生命保険会社などとの協調融資への切り替えは実現していない。足元の2行の融資額はそれぞれ3000億円以上まで積み上がったとみられる。

3600億円を融資する際に2行が課した条件は、13年3月期の下期(12年10月~13年3月期)の営業黒字化である。だが、アップル向けビジネスの低迷に加え、円安進行で、海外生産比率が高い白モノ家電と複写機という2事業の収益が悪化するおそれがある。第3四半期はなんとか営業黒字となったものの、「公約達成」は予断を許さない。

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