日本人観光客が激減していた8月のフランス 非常事態宣言下でも変わらない日常に触れた
ホール近くの襲撃を受けたカフェは、穴だらけになったガラスが張り替えられていた。テラスにも店内にも客が数人おり、おしゃべりしたりしている。店に入ると、ウエートレスがにこやかに迎えてくれた。席に座ると、ウエーターが注文を取りにきた。ウエーターは朗らかに注文を聞き、しばらくしてカフェオレを運んでくる。何もかも普通で、ここでテロがあったとは、やはり信じられないくらいだ。
ガラス張りの店内から、交差点を行き交う人がよく見える。スカーフをかぶった女性、黒人、東洋系など、いろんな人が歩いている。パリには、多種多様な背景を持った人が住んでいるのだ、と改めて思う。テロがあった夜も、カフェの客は直前までくつろいで過ごしていたのだろう。
襲撃された別のカフェとレストランの前を通った。こちらも、ガラスが修理され、客が入っていた。近くの壁には、一輪の花が供えられていた。テロリストの狙いは、日常を揺るがすことだという。だから、普通に店を営業することは、テロリストに屈さないという意思表示ともいえる。
小さな美術館でもセキュリティチェック
パリの街中は、警察官と迷彩服姿の兵士が警戒している姿が目立つ。滞在中、パリで5カ所の美術館や博物館に出かけたが、すべてセキュリティチェックがあった。以前は、ルーブルなど大きな美術館だけだったが、小さな美術館でも実施していて驚く。
「ボンマルシェ」というパリを代表するデパートでも荷物検査があった。宿泊したホテル近くの小さなショッピングセンターでも、出入り口に警備員が立っていた。ショッピングセンターは中を通り抜けられるようになっているため、滞在中、しばしば入り口を通った。そのたびに、バッグを開けて中身を見せる。数日間滞在するうち、警備員は私の顔を覚えたようで、最後には、にこやかにあいさつを交わすようになった。
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