地味な「浜松町」、野村不動産が社運賭け一新 3500億円投じ東芝本社建設や水上タクシーも

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そのほか、特徴的なのが舟運の活用だ。舟運とは、リムジンボートや水上タクシーを東京の新たな公共交通機関として、整備しようという構想だ。舛添要一前都知事のお気に入りのアイデアだったためか、日本橋など都内各地で進む計画案にもちらほら出てくる。渋滞なくスムーズに走れる水上交通は意外にも速く、羽田空港―浜松町間を10分程度で結ぶことができるという。計画案では、開発地の横を通る運河に桟橋などの「リムジンボート等の舟運拠点」を設け、交通結節点とすることで、人の往来を増やすことを狙っている。

とはいえ、やはり気がかりなのは、現在の同エリアに漂っている、もの寂しさだ。開発エリアは浜松町駅の東口側にある。大規模開発とはいえ、1社の力では限界がある。

そこでカギとなりそうなのが、周辺で先行して進む再開発との連携だ。野村もこれは計算に入れているだろう。現在、浜松町駅の周辺では、2つの再開発計画が動いている。

貿易センタービルや竹芝も再開発進む

先に再開発工事が進んでいる浜松町駅の西口。茶色い建物が世界貿易センタービルディング、背後に見えるのが駅の東口にある浜松町ビルディング(写真:記者撮影)

1つは、駅西口正面にある浜松町のランドマーク、世界貿易センタービルディング一帯の建て替えだ。200メートルと160メートルの2棟のビルが建ち、延べ床面積は計37万平方メートルの規模となる。すでに一部工事は始まっており、2024年度竣工予定となっている。事業主のJR東日本らは、駅の東西を結ぶ自由通路と歩行者デッキネットワークの整備を、計画に盛り込んでいる。

もう1つは、東急不動産が一足先に国家戦略特区の指定を受けて、東口の竹芝寄りで進めている再開発計画。野村の開発地予定地の北側にあたる。都から借りた土地に、延べ床面積20万平方メートルの複合施設を作るほか、浜松町駅、竹芝駅と歩行者デッキでつなぐ。今年5月にすでに着工しており、2020年に竣工を予定する。

東京都は、これら3つの再開発計画を連携させ、線路や高速道路、運河などで分断された浜松町エリア全体を、一体的な街に作り変えていきたい考えだ。東京、品川、羽田の中心に位置し、交通利便性が今後いっそう高まるであろう浜松町駅周辺。大変貌を遂げるポテンシャルはありそうだ。

茨木 裕 東洋経済 記者

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いばらき ゆたか / Yutaka Ibaraki

1975年生まれ。「週刊東洋経済」編集部所属

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