白川・日銀新総裁、難問山積にどう挑む

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堪えかねているのは欧州諸国だけではない。世界的な金融の混乱の中で先進国以外の国々に流入した資金が流出する傾向も強まっている。そうした国々では流動性の低下による景気悪化も懸念される。

世界経済の安定化に白川体制の重い責任

先進国が自国経済の運営に責任があるのは自国民の生活環境の維持という使命からだけではない。先進国以外の国々の経済に悪影響を及ぼさないという国際的な責任も担っている。

サブプライム関連問題に端を発した今回の混乱劇の舞台が欧米諸国であるだけに、話題になっているのは欧米諸国の経済ばかりだが、国力という概念でとらえていくと、非先進国への配慮を怠ることはできない。先進国を苦しめた第2次オイルショックの直後に発生したのが、中南米諸国や東欧諸国の債務危機だったという歴史を忘れてはいけない。

サブプライム関連問題は深刻だが、資源価格の高騰も狂気の沙汰だ。サブプライム関連問題が今、その途上にあるように、狂気はいずれ大きな代償と苦痛を伴って是正される。その際、打撃はより弱いほうに大きく響く。先進国の責任は重大だ。

日本もまた、先進国の一員である。ちょっとした円高で悲鳴をあげる後進国的な体質は根強いが、れっきとした先進国という自負があってよい。日銀にも同様の義務がある。

複雑で困難さが際立つ国内外の経済情勢の中で、白川日銀体制はスタートした。そこで、最後に次の発言を白川氏の総裁就任にあたってのプレゼントとしたい。

「わが国は世界有数の経済力を持つに至り、他の先進諸国とともに世界経済全体の運営に責任を負う立場となりました。金融政策の運営に当たっても、わが国が世界経済や国際金融の中におかれた立場を十分認識するとともに、わが国の政策運営が他国に与える影響をも念頭におく必要があります。わが国経済が通貨価値の安定を維持しつつ健全な発展を遂げるならば、世界経済に対して貢献するところが大きいと考えられるのであります」

名総裁と謳われた第24代総裁、前川春雄氏が1982年10月、 日銀創立百周年式典で講演した内容の一部である。

白川体制は副総裁が一人欠けるという異常なテイクオフを果たした。しかも、この先の視界は著しく不良である。そうであっても、日銀の役割が減じられるわけではない。国内外に向けた白川体制の責任は重い。
(浪川 攻 =金融ビジネス)

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