MITで失った自信、得た自信

レンガを積むが如く

徹夜明けに、凍ったチャールズ川の川面に映る朝日を見た。辛いときや寂しい時、僕にとっての慰めは、寮の窓から見えたこの景色だった。

留学の価値とは

その後のMITでの6年間は博士号の取得を目指してひたすら研究、研究の日々だった。相変わらずディスカッションではアメリカ人たちにかなわなかったし、飲み会でもジョークを理解できずに作り笑いをすることがたびたびだった。

それでも、研究の実績を重ねていくうちに、研究室で自分の確固とした居場所を見つけ、先生からも大事な仕事を任されるようになった。英語での立ち居振る舞い方も徐々に身に付け、友達の輪の中にも以前よりは自然に入っていけるようになった。そうして、一度は完全に失われた自信が、徐々に戻ってきたと感じるようになった。

思い返せば、MITに入学したときに僕の胸をぱんぱんに膨らませていた自信は、狭い世界での限定的な成功を外の世界へ単純に外挿しただけの、根拠のない自信だったのだと思う。それは風船に詰められたガスのようなもので、小さなゴムの膜を見掛けは大きく膨らませたが、ひとたび穴が開くと、何の抵抗もなくすべてが抜け去ってしまった。

きっと本物の自信とは、レンガをひとつずつ積み上げていくようにして築くものなのだ。研究成果を書き記した論文の1本1本や、お互いに信頼できる友達の一人ひとり、そんなものを、ひとつずつ、またひとつずつ、しっかりと積み重ねて、風が吹いても雨が降っても揺るがない、頑強な壁を築き上げていくことこそが、自信を得るということだったのだ。

もし僕が今後の人生で何かしらの成功を成し遂げることがあるとすれば、あの半年間の苦労がその土台となろう。もし僕が今後、何かに失敗するとしても、留学の苦労を通して築いた自信の壁が、僕を風雪から守ってくれるに違いない。MITへ来て、僕がいったんすべての自信を失いリセットされたあの半年間、それがその後の僕の人生の原点だ。そしてそれこそが僕にとっての留学の価値だったのだと思う。

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