MITで失った自信、得た自信 レンガを積むが如く

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ボストンにも桜が咲く。時期は東京よりも一ヶ月ほど遅い。アメリカでは5月末から夏休みなので、桜が咲くのは学年の終盤。MITに残れることが決まったあとで見た一年目の桜は、僕を祝ってくれているかのようで、とりわけ感慨深かった。

海外に出るか日本に残るか迷っているならば

最近の日本では留学がすっかり大衆化したようだが、その多くは、語学留学、交換留学、あるいは企業派遣など、日本での所属を残したままの留学だ。一方、根なし草になって一般の学生として留学する、いわゆる学位留学をする日本人は非常に少ない。無理もなかろう。学位留学では語学レベルに関係なくアメリカ人学生と同じ土俵での競争を強いられるので苦労が多いし、競争に生き残れなかった場合に日本に戻る場所がなくなるというリスクもあるからだ。

だから、本連載で何度も繰り返してきたことだが、僕は自分が選んだ学位留学という道をすべての人に勧めるわけではない。ましてや日本の大学よりもアメリカの大学のほうが優れているなどと言うつもりもない。

だが、もしあなたが、リスクを取って海外へ行くか、安全を取って日本に残るかを迷っているならば、僕はこの不遜な言葉で、あなたに挑戦したい。

「自信があるなら、来てみれば」

小野 雅裕 NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)技術者

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おの まさひろ

1982年大阪府生まれ。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程修了。2012年より慶應義塾大学理工学部助教。2013年より現職。火星ローバー・パーサヴィアランスの自動運転ソフトウェアの開発や地上管制に携わるほか、将来の宇宙探査機の自律化に向けたさまざまな研究を行なっている。阪神ファン。好物はたくあん。主な著書は、『宇宙を目指して海を渡る』(東洋経済新報社)。

ブログ: onomasahiro.net/
Twitter: @masahiro_ono

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