木本:水素自動車の「ミライ」ですよね。僕も福岡でトヨタが実用化しているタクシーに乗りました。確かに速いし、なによりも運転手さんが、「すごいクルマに乗っている」とキラキラした笑顔で説明してくれました。新しいものって人のテンションを上げていくんですよね。独特のエネルギーを感じました。
瀧本:新しいヘンなモノって、新しいモノに面白がって飛びつく元気な人たちがいるから成り立つんです。こういう人達はやや軽率な人なんですが、そういう人たちがいないと新しいモノははじまらないんです。
木本:僕も、軽率な人間です。すぐ「いいな」と思って手を出しますね。試してダメな時もあるんですけれど。
瀧本:クラスに2、3人はヘンな人間がいるじゃないですか。調子に乗ってケガするヤツとか。でも、「ファーストペンギン」といいますが、最初に海に飛び込む人が世界を変えてきたんです。
木本:僕はそういうタイプでしたね。ということは、世界を変える可能性はゼロではない?
「ネットお笑い」のジャンルを確立すれば面白い
瀧本:そうです。たとえば、スマホで見られるテレビ番組には、明らかにミライが来ているわけです。振り返れば、テレビだって最初はバカにされていたんですよ。娯楽の王様は映画で、「テレビなんて誰も見ないし、広告も入らない」といわれていた。一流のスターは出演しなかった時代があるんです。仕方ないから新人を使っていたら、次の時代にはその人たちがスターになっていった。
木本:僕が所属する松竹芸能は、舞台に強くて演芸場をたくさん持っていました。舞台に立てるようになれば家が建つというほどだったそうです。だから、松竹芸能は演芸を大事にしてきた。一方、吉本興業はテレビにすぐ参入したので、今に続く「吉本全盛時代」が始まった。まさしくそういうことですよね。
瀧本:また時代は大きく変わりつつあります。ネットの時代には松竹芸能が先んじて、当時の悔しさを逆転すればいい。ネットの時代を先取りすればいいんです。気づいたらネットが中心になっていて、「いまの松竹芸能の礎は木本さんが作ったんだよ」と語り継がれる人になりますよ。
変化は激しいものになります。たとえば、昔のテレビには深夜枠というものはありませんでした。『11PM』で深夜はじつは面白いバラエティができるということを、先日亡くなった大橋巨泉さんが発明したわけです。それまでは深夜枠って視聴率は取れないし、スポンサーもつかないといわれていましたが、そこがむしろ登竜門になったわけです。
いったいスマホの番組、スマホのお笑いでは何を発明するのか、という競争がこれから始まると思います。
木本:深夜番組が面白いというのが当たり前になって、ある意味ゴールデンもプライムとも変わらないほど、メジャーになりましたね。スマホの番組では、これまでの常識にとらわれず、もっともっと自由なことをしましょう。とてもやる気が湧いてきました。
(構成:高杉公秀、撮影:今 祥雄)
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