円安にもかかわらず輸入額増加は限定的
1月の輸入額は6兆4286億円で、対前年同月比7・3%増であった。12年11月からのプラス伸び率が続いており、しかも伸び率は上昇したのである。
輸入数量はマイナス1%の伸び、輸入価格は8・4%の伸びだ。輸入価格は11月からのプラス伸び率が続いていたが、1月になって増加率は急激に上昇した。
ここで注目すべきは、輸入価格の伸びが8・4%と、為替レートの減価率12・4%よりかなり低いことだ。これは、輸入品のドル建て価格が低下したことを意味している。
円安によって輸入額が増加したことが、重要な事実として報道されている。しかし、本当に重要なことは、輸入額が為替レートの変化ほどには増加しなかったことである。
輸入数量の伸びがマイナス1%だったので、仮にドル建て価格が変わらなければ、輸入額は11・4%程度増えたはずだ。その場合には、輸入額は6兆6620億円となり、貿易赤字は1兆8630億円と、2兆円近くまで拡大していただろう。
価格下落は、原油とLNG(液化石油ガス)で生じた。円建て輸入価格を11年12月と12年12月で比べると、原油及び粗油は、1キロリットルあたり55・7円から58・5円へと5・0%の上昇にとどまった。これは、為替レートの減価率より6%以上低い。原因は、ドル建て原油価格(WTIスポット)が、12年1月の1バレル=100ドル程度から、13年1月の93~95ドル程度と、5~7%程度値下がりしたからである(総輸入中の原油の構成比は17・1%だから、かなりの効果がある)。LNGは、MTあたり6万6700円から6万7200円へと0・75%しか上昇していない。こうなった原因は、オイルシェールの可能性もあるだろうが、いわゆる「ジャパンプレミアム」が解消されつつあることを示しているのではないだろうか(輸入総額中のLNGの比率は9・4%)。
1月の貿易赤字は1兆6294億円となり、昨年1月の1兆4814億円より大幅に拡大して、過去最大となった。このことが、大きなニュースとして報道された。しかし、重要なことは、輸入価格が為替レートの変化ほど上がらなかったことだ。
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