患者の多くは「無駄な手術」を受けていた!

一部の症状では手術のメリットがないことも

カッツらの研究チームは、半月板損傷を患っていて膝の痛みがある中年患者を対象に、手術と理学療法を比較する臨床試験を行った。すると、手術はほとんどの患者に効果がなかった。

同様の結論に至った研究はほかにもある。昨年発表された、半月板損傷手術に関する9件の臨床試験を研究したメタ分析によると、患者の多くは痛みが軽減したと答えている。しかし、手術以外の治療法でも、ニセの手術でも、痛みが減ったと答えたのだ。

7月にもブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに、半月板損傷と膝の痛みがあり、変形性関節症は発症していない患者を対象に手術と理学療法を比較した研究が発表された。この研究でも、手術に付加的な効果はないことがわった。論文は、手術は「裏付けとなる証拠に欠け、効果は非常に疑問だ」と指摘し、こう付け加えた。「(効果がないことを示す)確かな証拠が広く見過ごされている」

手術の選択肢は提示されるべきか

こうした手術の効果について患者にはどう伝えられるべきなのか。手術の選択肢は提示されるべきだろうか。

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに論文を発表した、カナダ・オンタリオ州ハミルトンにあるマックマスター大学のゴードン・グヤット教授は「個人的には、手術の選択肢は患者に伝えるべきではないと考える」と述べている。術後に軽減したのはプラセボ効果であることが研究で示されている、というのがグヤットの意見だ。

医師が手術について患者に伝えるなら、グヤットが勧めるのはこうした言い方だ。「ランダム化臨床試験が信頼しうる証拠を示しており、それによると手術には効果がほとんどありません。利点があるとしてもごくわずかで、費用と合併症の可能性という欠点もあります」

こう聞いて、「『よし、手術を受けよう』と言う人がいるとは思えない」とグヤットは言う。

(執筆:Gina Kolata記者、翻訳:前田雅子)

(C) 2016 The New York Times News Services
 

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