ユニクロ 疲弊する職場 [拡大版]

サービス残業が常態化、うつ病の罹患率も高い

「金曜日と月曜日の客数増加による業務量の増加が月80~100時間分ほど、セール準備のための業務量は月60時間分ほど増えた」。現役店長のDさんはため息交じりに話す。年末限定だった4日連続セールの継続が急に決まったため、思うようにスタッフが集まらないのだ。

だが、本部やSVの経験があるなど、本部と丁々発止のやり取りができるベテラン店長ならともかく、入社3年内の若手からそうした現場の声が発せられることは、同社においては極めてまれだ。

店長の最大の使命は「店舗売り上げ・利益の最大化」。そのためには本部に人件費の積み増しを求めるなどもってのほかである、という意識が強いためだ。

店長代行だった元社員のEさん(20代男性)は、店長試験の面接まで進んだ際、今の人件費計画では店舗運営が厳しい旨を率直に告げた。結果不合格だったのは「あれが言い訳に聞こえたためだ」とのフィードバックを、上司から受けた。

厳しい処分を記した社内資料

現役店長のDさんは話す。「上司に店舗の現実を伝えても、『成長意欲がない』と低い評価をつけられるだけだ。完全実力主義をうたい、評価が収入に直結するだけに、現場からは不満の声が上がらない構造になっている」。もしそうだとすれば、企業の風土そのものが、過酷な労働環境を生んでいることになる。

教育はしてきたがケアはしてこなかった

ユニクロの経営陣は、自社における離職率の高さなどをどうとらえているのか。「われわれも苦悩している。これまで教育はしてきたが、ケアはしてこなかったかもしれない。そこは直したい」と語る若林執行役員は、戦略のグローバル化が大量離職の原因だと分析する。経営陣は、まず国内で店長を務め、仕事を体得した社員が海外に行くというキャリアプランを描いていた。ところが、これがまったく違う方向に作用した。一つは、グローバル企業の下で、すぐ海外で働 きたいという人が国内勤務に失望するというパターン。もう一つは逆に、国内で転勤のない仕事をしたいという理由で辞めるというパターンだという。 

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