円安続けば、電気料金「2割」値上げも 料金改定に燃料費調整制度が追い打ち

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さらに、ドルベースの燃料価格も上昇するようなことになれば、2割以上の高騰になる可能性も否定できない。企業向けの電気料金の値上げ率は家庭向けよりさらに数%高くなる。復旧復興が急がれる東北地方の住民・企業への影響は特に懸念されるところだ。

ガス料金にも原料費調整制度で燃料高が転嫁

電気だけでなく、都市ガスについても、やはり原料のLNGは全量輸入に頼っており、同様の「原料費調整制度」を通じて原料価格や為替の変動が自動的に反映される。

料金が自由化されているLPガス(液化石油ガス)についても その原料価格は最有力輸出国であるサウジアラビアのサウジアラムコ社(国営)が通告する輸出価格(CP)で決まっており、料金の変動を透明化するという名目で多くの業者が独自に原料費調整の仕組みを採用している。いずれも円安による今後の上昇は避けられない。

電力会社やガス会社側から見ると、円安による原燃料価格上昇の影響は「原燃料費調整制度」による料金への転嫁によって、2~4カ月のタイムラグはあるにせよ影響を中立化できる。ただ、もし原燃料価格の上昇が一貫して続くような場合には、料金転嫁によるコスト高の吸収が追い付かず、利益を圧迫する要因となる。

原燃料費調整制度は、「事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させると同時に、事業者の経営環境の安定を図ることを目的とし」(資源エネルギー庁)、1996年に導入された。

確かにこの制度は、公益企業としての電力・ガス会社の経営安定には大いに寄与してきた。だが一方で、原燃料高を自動的に料金へ転嫁できるため、電力・ガス会社が原燃料調達価格の引き下げ努力を怠ってきた原因との批判もある。

エネルギー源の大半を輸入に頼る日本としては、もっぱら原油価格に連動したLNG調達契約の見直しや安価な米国産シェールガスの輸入促進を含め、調達価格抑制に向けてあらゆる手段を模索することが求められている。

(撮影:今井 康一)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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