習近平政権は利上げに踏み切るのか 大都市で住宅価格が上昇、強まるインフレ懸念

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しかも、中国全体でみれば、住宅供給がタイトな局面にあるわけではない。今後竣工する住宅をも計算に入れれば、全国的にみれば、在庫水準は過去と比較しても高い水準にある。都市によって、住宅市場の置かれている状態は相当違うのである。

それが中国政府の金融政策のかじ取りを難しいものにしている。これまでもインフレ期待の高まりとともに、中国では住宅価格が上昇するという傾向がみられた。しかし、利上げに対して中国政府が躊躇することは多かった。住宅問題への配慮という点からは、利上げにより、投機家だけでなく、一次所得者の住宅購入も困難になり、かれらの不満が高まることを中国政府は嫌ってきた。

強まるインフレ警戒感

さらに今回のように、地域によって住宅市場の置かれている状況が異なれば、金融政策の難度は高まる。金利を引き上げれば、すでに不動産市況が悪化している中小型の地方都市における住宅市場の調整が、深いものになる可能性があるからだ。

しかし、行政的手段による住宅価格のコントロールに頼り、利上げを渋れば、インフレ期待を弱めることが難しくなる。その場合、規制の網の目をくぐった形での投機的活動が広がっていく懸念も高まるし、実質金利が低下することで、投資依存型の成長からの脱却も難しくなりやすい。

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