ルンバはスマートホームの「指揮者」になるか ロボット掃除機が束ねる次世代IoTとは?
起床時間になったらキッチンの空調を整え、ベッドルームのカーテンを開け、灯りもつけ、お気に入りの音楽がかかる……といった具合だ。確かにかなり改善はしているが、“スマート(賢い)”とは言い難い。
なぜなら、IoT対応電球を1個買い足しただけでプログラムを組み直さなければならなくなるからだ。システムの追加や削除、変更にともなってプログラムを最適化し、使いこなしてくれるほど消費者は優しくない。
最終的に消費者が満足するスマートホームの理想を実現するには“何かを使いこなす”要素をなくさなければならない。すなわち、普段どおりに生活しているだけで家中にあるIoTを検出し、それらがどのように使われているのかをモニターし、先回りしてユーザーの心地よい生活をサポートする。
アングルCEOはこれを第3世代スマートホーム製品と呼び、業務用から特殊用途まで、幅広く存在感を示してきたアイロボットが、コンシューマ市場にフォーカスして事業投資を行う理由だと話した。
5年間、特許出願数世界5位
アイロボットは軍事・宇宙開発なども含め多様な分野にロボット開発投資を行ってきた。エレクトロニクス企業としてはこの5年間、コンスタントに特許出願数世界5位を誇るという同社は、数多くのロボットと人工知能に関する特許を保有しているというが、今後はコンシューマ製品にターゲットを絞り込んでその技術を生かす戦略を実施していくという。
アングルCEOの持論である第3世代スマートホーム製品については、この分野に興味を持っている人ならば、多少なりとも描いている構想だろう。今のIoT製品に“スマート機能なんて結局、面倒なだけ”という実装が多いのも確かだ。
そんな中で筆者が興味を持ったのは、なぜアイロボットが第3世代スマートホーム構想で重要な役割を果たせると彼らが考えているか?である。確かにロボット掃除機の分野で圧倒的な存在感を示している同社だが、(将来、市場の伸びが期待されるとはいえ)掃除機市場におけるロボット掃除機の割合は比較的小さい。とはいえ、それでも彼らはこれまで1500万台のルンバを出荷してきている。
第3世代スマートホーム構想を実現するには、スマートホーム対応IoT製品を購入しても設定などを一切行わず、極論するならば一切、それがスマートホーム対応だと消費者が意識せず、家庭内のどこかに設置して電源を取れば、あとは自動的に家庭内のスマートホームシステムの一部として協調動作する必要がある。
そこで、部屋の形や広さ、どこに何が置かれ、置く位置がどう変化しているかという”マップ”をつねにアップデートしながら動作するルンバを活用する。ルンバが部屋の中を移動しながら、近くにあるIoT製品を検出、その位置と機能、役割などを確認しながら情報を収集する。
こうすることで、日常的な自動掃除機の動作シーケンスを通じて、新しいIoT製品の追加が検出され、その情報がクラウドの中で統合されて制御可能になる。もちろん、IoT製品がどの位置に追加されたのかわかったからといって、それだけで価値が上がるわけではない。
しかし、そこでアイロボットの得意なAI技術の出番だろう。
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