都知事公約「満員電車ゼロ」は、こう実現する 小池新知事のブレーンが5つの方策を提示
――それをしてこなかったのはなぜでしょう?
今までの事故の経験で、誤出発を防ぐために青信号が点灯してから発車ベルを鳴らすルールになっています。青信号になる前にドアを閉めると、つられて運転士が出発してしまうかもしれないリスクをなくすためです。でも近年は、安全装置が導入されていて、運転士が誤出発しても列車はすぐに停まります。
――ルールを変えるのは大変ですか?
鉄道業界は事故を恐れ、新しいチャレンジを嫌がります。
――国が指導したら、鉄道会社は従うのでは?
従いますよ。でも、国土交通省の指示は「事故を起こすな」の一点張りです。国の姿勢が「効率を上げる」に転じたら、鉄道の利便性は上がり、コストは下がります。そのためには、皆が、鉄道は工夫により効率を上げられることに気づき、安全一辺倒だけでなく効率向上も求める世論が醸成されることが重要です。
ドアが閉まると同時に出発
――第2の方策は?
ドアが閉まると同時の出発です。現状、JR東日本以外では、ドアがきちんと閉まったことを示す運転席のパイロットランプを信用せず、何かが挟まっていないかを駅員や車掌が目視で確認して運転士へ伝達し、その後に出発させています。
一方、JR東日本では、パイロットランプが点灯して運転士が出発させた後に、駅員や乗客が傘などが挟まっていることに気づき、非常ボタンを押して列車を停めるケースがたびたびです。
そこで、ドア挟みの検知感度を上げたうえで、パイロットランプ点灯と同時の出発を提案しています。それにより、JR東日本以外は停車時間が短くなる分だけ列車間隔を縮められ、JR東日本は無用な停車を減らせます。
――今年4月に東京メトロ半蔵門線でベビーカーを挟んだまま走行する事故があり、対策としてドア検知の感度を高めましたね。
検知感度を15ミリから10ミリにしたところ、パイロットランプがなかなか点灯しなくなったそうです。以前は、何かが挟まってもシステム上はドアが閉まったとなる事象が多くあったわけで、車掌や駅員の確認が欠かせなかった証しです。ドア検知の感度を上げてロス時間は生じても、車掌や駅員が目視で確認している時間より短いのです。
車掌と駅員による確認を省略しても重大事故が発生しないよう、もう一つバックアップシステムを提案しています。万が一、ホーム上の乗客のコートの裾などを検知できずに出発した場合は、何らかのセンサーでそれを検知して緊急停止する仕組みも導入します。
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