都知事公約「満員電車ゼロ」は、こう実現する 小池新知事のブレーンが5つの方策を提示

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――最後に、第5の方策は?

信号の機能向上です。現行の信号システムは、位置検知や制限速度の表示がきめ細かくありません。最短でも100メートルくらいある軌道回路内の最も遠方を走行していても、最も手前を走行しているとして後続列車の制限速度を算定します。

また、指示できる制限速度が時速90キロ、65キロ、45キロ、25キロしかないと、本当は88キロ出せても、65キロしか選択肢がありません。

さらに、安全確保のために速度指示を引き上げるタイミングを遅らせていますが、ずっと短くできます。信号の機能向上により、安全を維持した上で車間距離を詰める、つまり運行本数を増やせます。

輸送力は1.5倍以上に増強される

――信号システムの改良にはコストがかかるのですか?

かかります。でも複々線化や総2階建て化よりはずっと安上がりです。これらの5方策すべてを中央線快速に適用した場合、現行の2分おきに対して1分20秒おきの運行が可能になり、輸送力は1.5倍にできます。他の路線は中央線快速より現行の運行本数が少ないので、さらに大きく輸送力を向上させられます。

総2階建て車両は「絵になる」ので、注目されがちですが、今回の5方策のほうが、費用対効果は上です。

――これらの5方策が実現されるために必要なことは?

社会全体で、混雑と遅延は解消できるという理解が広まることと、「満員電車ゼロ」を期待する声が高まることですね。

小池都知事は「できないと言って決め付けず、何からできるのかを考えるのは、政治と行政の責任でもあり醍醐味でもある」と断言されています。実現のチャンス大です。

(撮影:尾形文繁)

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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