おカネにまつわる本音と建前

金銭感覚のリアリティを問い直す

理由がない支出にも大きな意味がある

往々にして、一度規律を意識し始めた会社は、前からの弛緩の反動として過度に自律的になる傾向があります。具体的には、接待費や交際費に対して、費用対効果や公平性といった合理的な部分を極端に重視し始めます。

自律的であることはもちろん悪くはないのですが、私はそのためにいわゆる「あそび」の余地がなくなるのは問題だと思います。

理由がないのにあえて支出することにはとても大きな意味があります。要するに相手にとっての「特別感」というものです。

たとえばバスを貸し切ってくれたお客様に対し、サプライズでビールを1本つける。季節のイベントには花をつけたり、手書きのレターをつける。それもすべてのお客様ではなくて特定のお客様だけに行います。

多少の手間や費用がかかりますが、「それだけ時間をかけた・費用をかけた」という事実がとても大事です。楽にできることをやっても、それは相手にとっても楽にできることとして見抜かれているわけですから。

このような不公平なサービスを上司や担当部署にいちいち報告したり相談すると、相手も聞いてしまった以上、公平感を原理原則にダメ出しをしなくてはいけない場合があります。そうなるとお互いのためによくないので、自己責任の覚悟でしれっとやってしまえばいいんです(もちろんコンプライアンスに反するものは別問題です。念のため)。

また、そのサービスは助平心や打算があからさまになるのはダメです。リピートを狙うものでもなく、ほかとの整合性やバランスを計算するのでもなく、自然に出てくる感謝の気持ちを素直に伝えます。

とはいえ気持ちだけでは伝わりません。そんな気持ちを手間と費用に変え、可視化するための手段こそが、接待費や交際費の本当の役割でしょう。おカネの生きた使い方だろうと思います。

※ 本文は筆者の個人的見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。

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