"宇宙ママ"、ゴールの見えない日々の越え方

新世代リーダー 山崎直子 元JAXA宇宙飛行士

――皆さん、宇宙に行くために大変な努力をされていますが、表に見えない部分も大きいのでしょうか。

宇宙へ行っている間は、それは目立ちやすいですが、その裏では99%の人目に触れない努力があります。訓練の中でも、宇宙で行う作業の訓練は1割ぐらい。残りの9割は、ロボットアームが壊れたときにどう対処するかなど、不測の事態を想定した訓練が占めています。

(出典:NASA)

宇宙は地球から離れている場所なので、何かあったときにすぐ、助けに駆けつけられるわけではありません、ある実験ができなかったから、新しいものをすぐに打ち上げられるわけでもない。

身体の危険もありますが、それ以外にも長年かけて準備してきた実験や研究者への影響は大きいものがあります。今ある状況で最大の成果を出せるように、地道な努力が大切なのです。

訓練には1人でスキルアップするものもあれば、チームワークでやるものもあります。その際には、コミュニケーション能力が必須です。いかに自分がうまく作業ができたとしても、相手にきちんと、今やろうとしていることを伝えていかないと、結局、評価も下がります。

たとえば、アメリカ人と2人でペアを組んで、ロボットアームを操作するという訓練がありました。自分としては、手順書に従ってきちんとロボットアームを動かしたので完璧だと思ったのですが、実は評価は低かったんです。

なぜだろうと考えてみると、あまりコミュニケーションを取っていなかったので、本当にちゃんとできたのか、たまたままぐれでできたのかが、相手に伝わっていないということに思い当りました。自分がわかっていればいいということではなくて、みんなでそれを共有しないと意味がないのです。

女性には、マルチタスクという武器がある

――宇宙飛行士の仕事は、短時間で同時並行に大量の業務をこなす必要がありますが、それにはどんな秘訣があるのでしょうか。

宇宙飛行士の仕事はマルチタスクで、いろいろなことを同時にやらなければなりません。

その点、女性は、仕事中は仕事のこと、家に帰ったら家のこと、子どもがいれば子育てのことなど、日常生活の中でマルチタスクでやっています。子どもが話しかけてきたらそちらを優先しなければならないとか、突発的にほかの用件が入るなど、いろんなことに気を配る必要があります。案外、女性のほうが宇宙飛行士に向いているかもしれません。

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