中古車ガリバー、誰も知らない"新社名"の謎 社名変更に隠された壮大な未来計画

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新車市場が活況になったものの、新車ディーラーの販売競争激化のため、顧客にとっては実質的に値引きとなる中古車買い取り価格の引き上げが相次いだ。この結果、ガリバーでも買い取り価格を引き上げざるを得なくなり、台当たり収益が急速に悪化した。

卸売りにはこうしたリスクが伴う上に、国内の新車販売低迷で買い取り台数は頭打ちの状態が続く。そこで、再び成長軌道に乗せるため、ここ数年のガリバーは卸売りよりも粗利がよい小売り事業へのシフトを進めている。2016年2月末時点で131店にとどまる展示型の小売店を2020年2月末には371店舗へ増やす計画だ。

「IDOMの名が消費者に知れ渡ることはない」

IDOMといえば、創業者の羽鳥兼市氏の息子である貴夫氏(左)、由宇介氏(右)が2人とも社長を務めるユニークな会社だ

中古車小売り主体「アウトレット」だけではなく、ファミリーカー専門「スナップハウス」、軽自動車専門「ミニクル」、輸入車専門「リベラーラ」と細分化されたチャネルを展開。ショッピングモール内に設置されている「HUNT」(ハント)は、カフェや雑貨店を併設し、家族連れが立ち寄りやすい工夫をこらす。 

車がコモディティ化するに従って、消費者はかつてのようにトヨタ自動車の「86」が欲しい、日産自動車の「GT-R」が欲しいといったブランドやメーカーへのこだわりが薄れる。IDOMの多チャネル展開は、どのメーカーでもいいから、とにかくミニバンが欲しいといった、消費動向の変化を踏まえたものだ。

「主婦には、ユニクロを展開している会社がファーストリテイリングだと知らない人もいる。各チャネルの告知は強化するが、IDOMという社名が消費者に認知されることはないだろう」(由宇介社長)。

もう1つ、会社として強化する方針を打ち出したのがネット分野の新規事業だ。7月13日には今2017年2月期の業績見通しを営業利益108億円から76億円に下方修正した。

買い取り台数の伸び悩みや海外子会社の不振、軽自動車燃費不正の影響もさることながら、「未来市場開拓費用」という名目で、約15億円の経費を計上するからだ。

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