「オバマ・安倍会談」の成果は特になし 若手研究者、ジェフリー・ホーナン氏に聞く

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沖縄のために整えるべき環境

しかしその一方で、安倍氏は日本経済の問題に取り組むという決意、および米国と緊密な関係を築きたいという意図を表明している。TPP交渉参加は、この2つの目標を達成するのに役立つ。首脳会談の前に日本のTPP参加問題に関して動きがあるとは思わないが、日米両首脳が安倍氏の立場を議論すると期待することはできる。

ただ、そうは言っても、安倍氏が最終判断を下すには時間的限界がある。米国では、国際貿易に関する交渉に際しては、承認のための議会の審査期間として90日が要求されているからだ。

TPPに参加を表明している国々は、10月のAPEC首脳会議で交渉をまとめると予想される。そうすると安倍首相は、今回の日米首脳会談の後、7月の参議院選挙の前に、判断を下さねばならないことになる。安倍氏が、すべての関税撤廃に対する例外を容認する譲歩を引き出せることを前提に、TPPの交渉参加に関心があると繰り返し表明してきた。それを考慮すると、自民党内でTPPへの支持を獲得するために、何らかの政治的影響力が働くことを期待しているものと思われる。これは政治的な綱渡りであり、安倍氏がこれに成功するかどうか、私にはわからない。

――普天間基地移設問題も日米関係にとって重要なテーマです。

辺野古への移転計画は、完全に頓挫したとは思わないが、 東京の誰がこの計画を推し進められるか、という問題ではないと思う。むしろ、沖縄の誰がこの計画を推進することができるか、という問題だと思う。もっと正確に言えば、誰がこの計画の推進を「望む」か、という問題だ。

安倍氏は、現時点で、計画は進めないと表明しているが、沖縄に前向きな政治環境を作る取り組みを重視し、何らかの信頼を構築するために、名護と那覇の政治家たちとの人間関係を育もうとするだろう。

辺野古移転計画が進展するには、沖縄県知事だけではなく、名護市の市長および市議会の支持が必要だ。今のところ、誰もが辺野古移転に反対している。安倍氏が取り組むべきは、政治環境を好転させて、次の選挙までに支持に回る人が出てくる環境、または、移転計画を支持する候補の当選を後押しできる環境を整えることだ。

来年は、名護市と那覇市で選挙が行われる。東京では一部の人たちが、「仲井真知事は次の選挙までに(健康を理由に)辞任するのではないか、しかしその前に、この異論の多い問題をきっぱりと片付けるために、辺野古移転計画への支持を表明するのではないか」という見方をしている。このように考えると、安倍氏が今の幕間になすべき仕事は、仲井真氏のための「花道」作りの環境を整えることだ。

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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