日本株は「日銀会合」後、結局「売り」になる? 「ポケモン祭り」の次は日銀金融政策決定会合

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つまり、発表後、一時的に高値をつける場面(1月)はあったものの、いずれのケースも日銀会合後の日経平均は下落に転じたわけだ。「マイナス金利導入」だろうと「金融政策の現状維持」だろうと、日銀会合通過後は売りというシンプルな流れだ。

これは、金融政策の中身よりも、指数の値動きだけを重視する投資家が多いことが要因だろう。つまり、ヘッジファンドなど短期筋と言われる投資家の存在が大きいと言える。

「期待感」よりも「警戒感」か

さて足元の日経平均の動向を見てみよう。足元のボトムは6月24日の1万4896円だが、これは英EU離脱ショックによるもので、日銀会合に絡んだ動きとは異なるため、参議院選挙後、政策期待が高まった7月11日の安値1万5375円を起点として考えたい。

日経平均は21日に一時1万6938円まで駆け上がった。東証が発表する最新の投資部門別売買動向(7月11日から15日の週)では、先物と現物を合わせると外国人投資家は約1兆円(先物6494億円+現物3512億円)買い越している。

この金額が全て日銀会合を意識した短期筋による買いというわけではないが、足元の上昇、日銀会合への高い期待感、外国人投資家の買い、今年の日銀会合前後のパターンなどを考慮すると28-29日の日銀会合は、期待感より警戒感を持っておいたほうがいいのではないか。

なお、筆者は今会合で、市場の話題となっている「ヘリコプターマネー」実施等はないと考える。法的な問題を抱えていることと、マイナス金利導入後、僅か半年で次の劇薬に手を出すのはいささか節操がないと思うからだ。

可能性があるのは、ETF、REIT、国債の買入枠の拡大、そして、マイナス金利の拡大だろう。仮に実施となれば、不動産株やREITへの刺激材料となる可能性はあるが、戻り基調だった銀行セクターは反落か。

どちらにしても、日銀会合の結果が伝わったタイミングで、為替、先物のボラティリティは一気に高まる。ボラティリティが上昇すると、より短期筋が活発な商いを行うことから、市場は乱高下しやすくなる。となれば、やはりどちらかといえば、下落を警戒しておいたほうがいいのかもしれない。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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