高値更新の米国株の重しとなる「ドル高」基調 原油相場も将来の産油量増加が懸念材料に
米国株が堅調さを維持している。日々の上昇幅は徐々に小さくなっており、やや上値が重くなりつつあるが、過去最高値水準にあることに違いない。このように、過去最高値を更新する動きが続くと、そのままさらに高値を更新し続ける傾向がある。そして、きわめて強い上昇相場が長期間、続くことになる。
しかし、そのためには、現在のような債券代替の役割ではなく、株式そのものの価値を買う動きが不可欠であろう。つまり株価形成の根本にある企業業績が、現在の株価水準を正当化できるような状況になることが必要である。幸い、現在発表されている今年第2四半期(4~6月)の決算は、事前の市場予想をわずかに上回っているようである。さらに、第3四半期以降は、これまでのドル高や原油安の影響が払拭され、増益が期待できるとされている。そのようなシナリオ通りになれば、現在の高い株価水準も十分に正当化されることになろう。
対主要通貨でドルが上昇する可能性
市場が想定するドル高是正と原油高だが、これまでは確かにドル安・原油高の動きにあった。しかし、あくまでこれまでのドル高・原油安の是正にとどまっている。株価上昇には、この傾向がさらに明確になる必要があるが、現在の市場ではその見方がやや困難になりつつある。年初からの為替の動きを見ると、米国サイドの思惑通りにドル安傾向が鮮明になりつつあった。しかし、英国のEU離脱決定を契機にポンド安に加え、ユーロ安も進んだことから、結果的にドル高基調が強まっている。
過去の株価とドル指数の関係をみても分かるように、ドル高は米国株にはネガティブ要因となる。英国はポンド安を容認する態度を示しており、さらに8月には利下げの可能性が高いとみられている。ポンド安がユーロ安を誘発し、ドルが対主要通貨で上昇するようなことになれば、過去最高値を更新する米国株の重しになるだけに要注意である。
原油については、26ドルでダブルボトムを形成し、順調に水準を回復してきた。その結果、50ドルの大台を回復した。しかし、ここからが意外に重かった。過去の原油相場のレンジを見ると、40ドルと80ドルがコアレンジであり、その中心である60ドルが重要なフシ目になってきた。しかし、今回は50ドルが意識され、結果的にこれを維持できなかったことで、現在は徐々に水準を切り下げる動きにある。背景には、米国内の石油掘削リグ稼働数の増加および将来の産油量の増加懸念が背景にあると考えられる。
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