拉致問題はなぜ進展しないのか?-日朝協議の今後を考える-

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拉致問題はなぜ進展しないのか?-日朝協議の今後を考える-

民主党参議院議員・藤末健三

3月7日から8日にかけて、ベトナムのハノイにおいて北朝鮮と日本の協議が行われましたが、拉致問題はほとんど進展しませんでした。

そもそも日朝協議は、今年2月8日から13日にかけて、北京において開催された「第5回6者会合(第3セッション)」の成果文書「共同声明の実施のための初期段階の措置」に基づくものです。

この成果文書には、「拉致問題の解決が明確には定義されていない」状況でしたので、北朝鮮は真摯な対応を取りませんでした。やはり、一番重要なことは「北朝鮮にクレームをつけるだけでなく、米・中・韓・露の4カ国に拉致問題解決の必要性を認識してもらうこと」だと私は考えています。他国と連携しないまま、単独で重油支援不対応や経済制裁などに踏み込むことは、国内的にはいいパフォーマンスとなるでしょうが、問題の本質的な解決には向かわないのではないかと危惧します。

基本的に、私は第5回6者会合の成果を評価しています。外務省も相当頑張ったと聞いています。ただ、外務省はもっと情報を発信し、国民にも他国の考えや北朝鮮の現状などをもっと正確に伝える責任があります。そうしなければ、ますます相互の反感が強まってしまうでしょう。

今回のコラムは、第5回6者会合(第3セッション)の成果と日朝協議など今後の展望について書きます。ちなみに本稿は、2007年3月8日に書いています。

他の国は「拉致問題」に関心がない?

まずは、北朝鮮問題のポイントを整理したいと思います。わが国では、「拉致問題」に関心が集中していますが、国際的な関心は「北朝鮮の核武装」です。

1年半前に、私は、韓国の国会議員、アメリカの連邦議員、そして日本の国会議員が一同に会する場に参加しました。その時に感じたことは、韓国の第1の関心は「北朝鮮との統一」であり、その次に「核問題」であり、「拉致問題」には全くというほど関心を示していないということです(別途、韓国の人に話を聞くと、自ら北朝鮮に行く人も多いことに加え、北朝鮮と同民族ということもあり、韓国の人々は拉致問題に関心がないとのことでした)。

一方、アメリカの議員は、「北朝鮮の核問題」が唯一の関心事でした。特に「北朝鮮から核武装のドミノ現象。つまり、日本、韓国の核武装が起きないか」を強く警戒していました。

そして、わが国の議員は、「拉致問題」がメインです。韓国の議員の中に韓国外務通商部(外務省)出身者がいましたが、彼が「各国の関心が一致していないことも北朝鮮との交渉が進まない原因のひとつ」と間接的に指摘していたことが印象的でした。

このように、「拉致問題」に他国は関心が低いのです。こうした他国の無関心が「六者会合のテーマに拉致問題が入っていない」という状況を生んでいることを日本人はもっと認識する必要があります。

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