拉致問題はなぜ進展しないのか?-日朝協議の今後を考える-

北朝鮮の核問題のポイント

北朝鮮の核問題については、以下の3つのポイントがあります。

1)寧辺(ミョンボン)の核施設の処置
2)今まで生産されたプルトニウムの取り扱い
3)高濃縮ウランの生産

まず、寧辺(ミョンボン)の施設は、50MW(メガワット)級の黒鉛減速炉であり、核燃料プルトニウムの製造が可能です。この施設を完全破壊する、もしくは、完全に他国が管理するようにしなければ北朝鮮の核問題は完全には解決できません。

次に、プルトニウムについては、韓国科学国際安全保障研究所(ISIS)が今年2月のレポートで、「北朝鮮は、現在46�から64�のプルトニウムを確保しており、4発から8発の核弾頭を製造することが可能」と書いています。ただ、依然として、このプルトニウムがどこにどれだけ保管されているかは明確ではありません。まずはプルトニウムの所在の確認、そして最終的には、プルトニウムの処理を行う必要があります。

最後に、高濃縮ウランの製造ですが、これは北朝鮮が小型の原爆を製造するために必要な計画です(原子爆弾にはウラニウム型とプルトニウム型があります。一般的にウラニウム型の方が小型化に適しており、ミサイル搭載などに使われるようです)。北朝鮮が今後ウラニウム型原爆の製造に向かわないように歯止めをかけなければなりません。

北朝鮮が約束したこと

外務省の説明によると、今回の会合で北朝鮮が60日以内に実施する「初期段階の措置」の3点が決まりました。

1)寧辺の核施設(再処理施設を含む)を、最終的に放棄することを目的として活動停止(shut down)及び封印(seal)する。
2)すべての必要な監視及び検証を行うために、IAEA要員の復帰を求める。
3)すべての核計画(抽出プルトニウムを含む)の一覧表について、5者と協議する。

1)と2)が寧辺の各施設の管理を行うことに関する措置、そして、3)がプルトニウムの管理と濃縮ウラ二ウムの製造に関する措置となります。個人的には、もっと明確に書かないと、北朝鮮政府が色々なこじつけをして、また約束を破る可能性があるのではないかと心配しています(少なくとも第1回日朝協議はそうなりました)。

ちなみに、会合の合意文書「共同声明の実施のための初期段階の措置」においては右図のような記述になっています(出典:外務省サイト)

また、一連の合意の見返りとして、北朝鮮に対し、重油5万トンに相当する緊急エネルギー支援を開始することが決まりました。ただ、これを実施するのは、米・中・韓・露の4者です。拉致問題を含む日朝関係の現状を踏まえ、日本は参加しないことが決まっています。この決定は、今まで拉致問題に取り組み、それによって名を上げた安部首相の立場上、当然のことかもしれませんが、国際的な調和という意味では、問題が生じてくるかもしれません。

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