安倍政権は本当に財政健全化できるのか 2013年度予算は辛うじて乗り切ったが…
「たまたま伸びが低かった」社会保障費
社会保障費の増加圧力がある中で、実質的な減額予算にできたのは、経済危機対応予備費(12年度9100億円)の計上を見送ったことが大きい。補正で大型の経済対策を行ったので、経済対応予備費を改めて積む必要はなくなったというのが、その理由だ。
通常の歳出項目では、地方公務員の給料を7月から国家公務員並みに引き下げることと、生活保護費をカットすることが2大ポイント。地方公務員給与の平均7.8%カットによって、地方歳出ベースで削減できる人件費は8500億円。これと同額を減災・防災、地域活性化の事業費に回すため、地方財政対策の一般財源総額は12年度と同水準となるが、一般会計ベースの地方交付税交付金は2000億円減る。一方の生活保護費見直しによる歳出削減効果は670億円だ。
例年1兆円ペースで増加する社会保障費が、13年度は人口動態の関係や「消えた年金」の記録回復が一巡したことから、たまたま低い伸びに抑えられたことにも助けられた。
プライマリーバランス黒字化でも、借金は増え続ける
4年ぶりに新規国債発行額を税収以下に抑え、「財政健全化目標に向けた第一歩」(財務省)と位置づける13年度予算。しかし、新規国債発行額が税収の範囲に収まったとしても、国債残高が累積していく状況は何ら変わらない。
安倍政権は年央に、プライマリーバランス(PB=基礎的財政収支)の15年度赤字半減、20年度黒字化に向けた中期の財政健全化計画を公表する方針だ。が、PBは国債の利払い費まではカバーしておらず、たとえ国際公約どおり20年度にPB黒字化が達成できたとしても、まだまだ国の借金は増え続ける。足元で1000兆円(国の経済規模の2倍超)もの政府債務を抱える日本の厳しい財政状況の下では、もはや単年度の予算で何かを評価できる段階にはないのかもしれない。
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