安倍政権は本当に財政健全化できるのか 2013年度予算は辛うじて乗り切ったが…

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大型補正から一転、財政規律をアピール

ここで、政府が1月29日に決定した13年度予算案を簡単におさらいしておこう。一般会計総額は92.6兆円で過去最大規模。ただし、民主党政権下で組まれた12年度当初予算(90.3兆円)には基礎年金の国庫負担分が含まれておらず、これを加味した92.9兆円からは約3000億円の減少となる。実質的には7年ぶりの減額予算だ。

 補正予算で大きく押し上げられた公共事業費も、本予算ベースで見れば12年度と実質的にほぼ同水準。尖閣問題を受けて防衛費を11年ぶりに増額したり、教育再生に関する予算を充実させた点などに安倍色が垣間見えるが、13兆円を超す補正予算からは一転、抑制的なスタンスを打ち出している。

「補正予算は緊急経済対策を主に置いたが、本予算は引き締まったものにするようにとの総理からの指示もあり、財政規律を頭に置きながら編成した」(麻生太郎財務相)。

昨年の政権交代を受け予算編成が異例の越年日程となる中、13年度予算は補正予算と一体となった「15カ月予算」として編成。10兆円を超す経済対策費を盛り込んだ補正予算によって、7.8兆円もの国債を増発することになったため、さらに大型の財政出動を繰り返せば、財政破綻リスクが一段と高まってしまう。アベノミクスに対して、市場関係者からは財政規律への懸念が繰り返し表明されていることもあり、本予算では財政健全化の意志を示すことに重きが置かれた格好だ。

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