神戸製鋼、無配転落の中で新たな船出 川崎専務が社長に昇格
1日午後、都内で開かれた記者会見のおもな一問一答は次のとおり。
■企画力と判断力、行動力を評価
――佐藤社長は川崎専務のどういう点を評価しているのか。
佐藤:川崎専務とは10年来の付き合いだ。川崎専務は当社の将来を語るとき、紙で書いて渡してくるが、それらが的確で企画力もある。それくらい日ごろから当社のあるべき姿、道筋を考えている。プロジェクトを頼むときの行動の速さ、的確さは目を見張るものがある。その他、若い者をまとめる力や他社と連携する力などいろいろあると思うが、まとめると、企画する力と判断する力、行動する力だと思う。
――新社長を選ぶ上で、技術系出身者に対する思いがあったのか。2010年に川崎専務に経営企画担当を任せたときから、後継者として目星をつけていたのか。
佐藤:私自身が技術系で、技術に対するこだわりはあるが、技術系(出身者)へのこだわりはない。取締役はみんな後継者だと思っていた。川崎専務のことは、3年前から、後継者候補(のひとり)として、もちろん考えていた。その他にも候補者がいたわけだが、彼が資質を開花させてくれた。(社長打診の)決め手になったことは、たとえば、コベルコビジョンを作る議論の時に、もっているビジョンとか、鉄鋼事業の業績悪化に対する決断と実行の速さなど。それが大きかった。
――会長と社長の役割分担はどうするのか?
佐藤:社長職はたくさんの仕事があり、物理的にたいへん忙しい。海外活動やグループの巡回は、会長が社長を補佐しなければしんどいだろう。
――社長交代後は、どういったところから手をつけていくか。
川崎:まずは次年度を黒字にすることが最大の課題。キャッシュフローを積み上げて、財務体質を改善し、何としても黒字に持っていく。これがまずもっての私の任務であると考える。ただ生き残りだけではない。長期的な視点と短期的な視点をもってやっていく。
――(会社として)あるべき姿、目指すべき姿をどう考えているか。神戸製鋼グループをどのような会社にしたいか。
川崎:国内収益基盤を再度強化することと、新興国、成長エリアを強化すること。どういう会社になるかという点については、とりあえず生き残る。でもそれだけじゃダメだ。成長なくして社員に幸せなし。利益を出す、その1点につきやっていきたい。
――新日鉄住金との提携関係をどう考えているか。
川崎:2社連携は続けていく。ただ、将来にわたって組織がどうあるべきかについては、現段階で特定の考えをもたずにやっていく。利益最大化についてどういう形がベストなのかを考えていく。
――佐藤社長の退任は足元の業績悪化に対する引責の意味合いがあるのか。
佐藤:今回の決算については忸怩たる思いだが、人事は無関係。会社は流れなければならないし、当社のような業態では会長社長の2人体制がよい。4月がタイミングと理解した。
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