7月10日の参議院選挙で大方の事前の予想どおり与党が勝利した。メディアでは与党などが「改憲勢力」の議席を得るかが焦点とされたが、筆者は違和感を覚えた。一つの理由は、多くの国民の最大の関心は経済動向や社会保障の充実にあったからである。
前回までと同様、今回の参議院選挙も事実上経済運営について与野党どちらに任せられるかの信認投票と位置付ける有権者が多かったと思われるが、野党から説得力がある対案はなく、「アベノミクスは失敗」という主張が繰り返された。実際には金融緩和強化をテコに、2013年から雇用を増やし続け必然的に新卒労働市場の状況が劇的に改善し20年ぶりに就職氷河期が終わりつつあることを、日々の仕事や生活を通じて多くの国民は感じているということだろう。
長期政権を支える政治パターン
安倍政権を誕生させた2012年の衆議院選挙を含めて、4回の国政選挙にいずれも与党が勝利を収めた。金融政策をしっかり機能させることで、経済回復で労働市場を改善させて、多くの国民の生活を安定させることではじめて政治安定が実現することは、最近の日本の政治のパターンだが、安倍政権はそれを実践している。
安倍首相などの少数の政治家がこのメカニズムを深く認識したことが、長期政権を支える源泉となっていると思われる。世界的にも、雇用拡大の手段として金融政策を重視するのが左派寄り政党だが、日本で民進党はこの役割を果たせず、逆に安倍政権がこの役割を担い国民の支持を得た。
選挙後の報道によれば、今回の参議院選挙後も民進党などのリーダーが替わるかは依然流動的である。実際には党首を含め執行部が変わらなければ、民進党などの経済政策に対する考え方は変わらず、労働市場回復に直結する金融緩和政策を批判しアベノミクス反対の立場を貫くならば、国民の支持を得ることは難しいのではないか。
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