ローカルの言語と文化を翻訳する人材が活躍
こういう文化の違いから来る翻訳者の役割がグローバル企業で増えてきているわけだが、根本的には言語だけでなく他国の文化を理解していなければならない。
たとえばタイで働くときは従業員が時間どおりに来るなどと思ってはならないし、デンマークで人が16時以降働いていると思ってはならない。フランス人は2時間昼食の時間が必要であり、中国や韓国ではとっとと飲みに行って個人的な関係をつくったうえで一緒に仕事するほうが物事は格段に速く進む。ちなみに日本人のいいところはいつまでも礼儀正しいことなのだが、逆に作用すればいつまでもよそよそしい、という印象につながってしまう。
私がいまだにほぼ毎日踊らされているオッパカンナムスタイルのオッパはお兄ちゃんという意味だが、韓国では他人でもすぐお姉さん、お兄さん、年下はすべてファーストネーム呼び捨てという家族みたいな呼び方になる。これが原因で私も含め日本の感覚からすると“なれなれしい人”になりかねないのだが、わざと“迷惑”をかけてそれでも受け入れてもらい、人情を確認する、というのも含めて韓国の文化的要素になっている。
実は昨夜、近所に住む韓国人の友人の家に夜22時半に突然お邪魔してその夫婦にご飯を作ってもらったのだが、私が3歳年上な大先輩というのもあるが、快くご飯を作ってくれて、丁寧に「また来てください」と言ってくれた。何回これを繰り返せばしまいに怒り出すのか、試してみてまた読者の皆様に報告したいと思うが、“迷惑をかけ合って関係を強化する”という文化的側面があるのも事実である。
ともあれ外国の文化に触れたときに驚きを受けるのと同様、海外の視点から見たら日本文化のどういった点に違和感を感じられやすいのか、知っておいて損はしないだろう。
アジアの中でも特に日本の言い回しは文脈性の高いコミュニケーション方法をとるので、性格の幅も文化背景の幅も違う外国人プロフェッショナルと働くときは、努めて直接的表現で、礼儀をわきまえつつも衝突を恐れず自己主張することを心掛けるといいだろう。
“そんなことわかっとるわい”というお叱りの声が本日も聞こえてきそうだが、一緒に働く人の国際性が広がるにつれ(つまり北東アジアやアメリカという共通性の高い文化圏から欧州や中東、アフリカや南米に関係が広がるにつれ)、自省することが多い今日この頃なので、多文化コミニュケーションの留意点について今さらながら書き綴ってみた。
今回、年末から続いたプロレス特集から大きく舵を切り、国際的なキャリアの多文化マネジメントに大きく舵を切ったわけだが、それはこのところプロレスコラムを書きすぎて、この連載が、キャリアのカテゴリーからカルチャーのカテゴリーに引っ越しされていたことに危機感を覚えたためである。
今回に引き続いて心を入れ替え、次回からは昨年末に行われた城繁幸さんとの公開対談の模様に加筆して、親愛なる読者の皆様にお届けしたいと思う。
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