グリー、ゾゾタウンの正念場 有力ネット企業トップが語った「強気」と「弱気」(下)
グリーの田中社長、スタートトゥデイの前澤社長に対し、経営内容に安定感を持った発言をしたのが、GMOインターネットの熊谷社長とヤフーの川邊副社長だ。
GMOインターネットの熊谷社長は「従業員3000人規模になり、会社は成長すると『社会』になると感じている。だが、平均値に近づくと生き残れなくなってしまうので、他と違うことをやる、スピード、クオリティでナンバーワンにならなければダメ」と、同社が現在置かれている立場を解説した。
収益と社会性のバランスをどう取るか
自社の収益と社会性のバランスは、ネット系各社が抱える課題。GMOインターネットはレンタルサーバーを含むウェブインフラ事業などBtoBの事業が多いだけに、顧客との信頼構築がとりわけ欠かせない。が、「一般的になりすぎても成長は見込めない」(熊谷社長)。熊谷社長はそのバランスの取り方に違う意味での”壁”を感じているようだった。
ヤフーの川邊副社長は「どうやってヤフーの副社長に上り詰めたのか」というグリーの田中社長の質問に対し、「常に難しい課題に自ら着手すること」という持論を展開。自身の経歴の中で、ヤフーニュースから記事提供元の共同通信が抜けたときは自ら責任者となり、新聞社の人と飲み会含め、親交を深めた」というエピソードを紹介した。
ヤフーは井上雅博前社長時代から「周囲との距離の取り方が上手い」と評され、川邊氏も大きな役割を果たしてきた。昨年11月8日にグリーとスマホ分野の業務提携を結んだ際も、翌日にディー・エヌ・エー(DeNA)とも同様の提携を発表している。これはDeNA側からヤフーに強い要望があり、川邊氏を中心に話をまとめたとされている。
19年までに営業利益倍増(約3300億円)を公約するヤフーだが、今後自社の利益と顧客や周囲との関係性をいかにかじ取りするか、業界の発展に大きな影響を与えるだろう。
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