増え続ける外国人研修生 不正行為の続出で移民論議が本格化

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与党政治家を中心に移民導入論が相次ぐ

こうした問題の表面化を受け、目下、制度見直しをめぐって議論が百出している。規制改革推進のための3カ年計画では、研修生・技能実習生の保護を図る関係法案を09年の通常国会に提出することが閣議決定されており、関係機関は今夏をメドに内容のすり合わせを進めている。昨年5月時点で報告された案によると、経済産業省は制度の大枠を維持する方針なのに対し、厚生労働省は技能実習3年に一本化すべきと主張。これは「研修でも技能実習生と同様の作業に従事することも多く、労働関係法令を適用したほうが彼らの保護になる」(外国人研修推進室長の藤枝茂氏)との考えからだ。

同じく昨年5月、長勢甚遠法務大臣(当時)は、同制度に関する私案を提示した。目的を「労働力の確保」と明確化し、技能実習制度を廃止、3年間の短期就労制度の創設を提言した。また自民党の外国人材交流推進議員連盟(会長・中川秀直衆院議員)は、研修・技能実習制度を廃止し、外国人受け入れや管理を担う「移民庁」の設置や定住促進型の移民政策を提言としてまとめ、来年の通常国会への提出を目指す方針だ。

両主張には、共通した問題意識がある。現在の外国人研修・技能実習制度が各地で深刻な人権侵害を引き起こしているのは、管理された安価な外国人労働力へのニーズという「本音」と、技能移転を通じた国際協力という「建前」の乖離にある。「建前」に関しては、現行制度内でも、企業単独型を中心とした本来的な研修の徹底でカバーできる。問題なのは「本音」だが、現在の技能実習制度は職業選択の自由がなく、労働者として不完全な立場に置かれ、人権侵害行為の温床となっている。

「技能実習」という特殊形態でなく、通常の「労働者」としての在留を認めることを前提に、定住型の移民として受け入れるのか、それとも在留期間を限定する短期的なローテーション政策を取るのか。議論を集中させる時期が来ている。
(風間直樹 =週刊東洋経済)

見出しの写真:実習生を帰国させようとした農園経営者(左)。空港は警察官も駆けつける騒ぎに(支援団体が撮影したビデオ)

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