最高のプロレスはロックのライブと一緒だ
キム:最後にイベントを盛り上げるという話に戻しますと、新日本の試合を一緒に見に行った東洋経済の記者が「これはロックのコンサートみたいだ」と言っていたんです。
木谷:そうです、そうです。
キム:つまりお客さんも一緒になって盛り上げていくライブなんですよね。
木谷:ロックです。だから、僕がずっと言っているのは、プロレスは95年から97年ぐらいがピークなんですよね。UWFインターとの対抗戦から猪木さんの引退試合ぐらいまでの時期です。当時は、東京ドームでプロレスをやると、いつもお客さんが5万人入っていました。
そこから11年ごろまで、ずっと下がり続けたんですよ。新日本も、収支はとんとんぐらいまで回復したんですが、売り上げは減り続けていました。でも今は、売上高も上がり始めています。
音楽業界もCDが売れなくなって、音楽配信の伸びも止まりましたけど、ライブは5年前に比べて観客動員数が倍になっているんですよ。回数も倍、観客動員も倍。今東京ドームを即日完売にできるアーティストは、十数組ぐらいいます。
キム:ライブがこんな盛り上がりを見せているのは、人が何かつながりを求めているからでしょうか。
木谷:いや、みんなで楽しみたいんですよ。一緒に楽しむ人の数が多いほうが興奮するじゃないですか。1000人よりも1万人で一緒に楽しんだほうが興奮しますよね。
周りは知らない人ばかりかもしれないけれど、知らないうちに隣の人と手をつないで、一緒に手をたたいているのが、本当にいいイベントです。つまらないイベントはそれがまったくないわけですよ。お通夜の状態になってしまう。
キム:そういったロック的に盛り上がる仕掛けをどんどん増やしていきたいということですね。
木谷:同じライブなのに、音楽は観客動員が倍になっているのに対し、何でプロレスは下がるんだという話です。
だから、繰り返しですが、最強から最高に進化しないといけないわけです。その方向にもう進化し始めていると思いますよ。
最後に
キム:今後の新日本プロレスは最強から最高を目指されるということですね。今日伺った戦略がどういう結果につながったかを、私の1年後の来日時に、ぜひまたお聞かせください。本日はどうもありがとうございました。
私、昔からプロレスが好きで、いつかプロレスに仕事でかかわり合いたいと思っていました。新日本プロレスの外国法人ができたら取締役か何かで雇っていただきたいと思っていたぐらいですので、海外事業部を作る際には、ぜひお電話ください。私しばらくフランスにいますが、シンガポールにもたまにおりますので。
実は、コラムを書いてプロレスファンに怒られた時に、謝罪せずにヒールに徹し、新日本の試合会場でレスラーにボコボコにされるという演出をしたら、ファンの方も楽しんでくれるだろうなと思ったんですが、恐くなってしまってすぐに謝罪しました(一同笑い)。
私は、このようなスペシャル企画を組むぐらいに、心を入れ替えましたから、もう怒らないでください(一同笑い)。大謝罪ですから。今後もぜひいろいろとご教授いただければ幸いです。本日はお忙しいところ、インタビューにご協力いただきまして、ありがとうございました。
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