名古屋めしの「存亡危機」に地元が放つ大胆策 進化形の「豪華メニュー」が続々登場する背景

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なごやめしの日の取り組み内容については、基本的に参加店の自由。そのため、新メニューのテストの場として利用している店も多い。名古屋駅太閤通口から徒歩5分の場所にある麺類食堂「朝日屋」も、そのひとつだ。

朝日屋「焼きみそとんかつ太きしめん」(筆者撮影)

「もともと常連のお客さんが飽きないように、創作メニューが多かったのですが、なごやめしの日はこれまで温存していたメニューを積極的に出しています」(店主の堀場剛さん)。

4月と5月に出したメニューは、味噌ダレたっぷりのとんかつと、きしめんを熱々の鉄板で食す「焼きみそとんかつ太きしめん」(1080円)だ。評判も上々で、レギュラー化も検討しているという。

「B級感」を本格和食の技術でブラッシュアップ

山本屋大久手店「金鯱」(筆者撮影)

なごやめしの日のメニュー作りに、やりがいと楽しさを感じている参加店も多い。前出の「山本屋 大久手店」が6月に提供したのは、「金鯱」なる味噌煮込みうどん(1800円)。名古屋城の「しゃちほこ」に見立てた大ぶりの海老天が2本と焼き海苔、そして金箔がのる、なんとも名古屋らしい豪華メニューだ。

「メニューはスタッフたちが互いにアイデアを出し合うのですが、おかげで結束力が強くなりました」と、前出の青木さんは破顔一笑する。

名古屋市中川区松葉町にある「豆たぬき」は懐石のコース料理がメインの本格的な和食店。店主の鈴木貴志さんはB級感の強いなごやめしを和食の伝統技術でブラッシュアップすることを考えている。

豆たぬき「うみゃあで!なごやめし弁当」(筆者撮影)

「黒毛和牛のロースを使ったどて煮や、高野豆腐に豚バラ肉を巻いて揚げた味噌かつなど、全13種類のなごやめしが楽しめる『うみゃあで!なごやめし弁当』を予定しています」(鈴木さん)。

食文化への危機意識を背景に、各店舗が創意工夫を持ってのぞむ毎月8日のなごやめしの日。プロジェクトは始まったばかりだが、従業員が活気を取り戻しつつある店は少なくない。新たななごやめしが生まれる可能性も秘めている。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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