巨大機関投資家GPIFは「危機的状況」にある

もはや株式市場の「救世主」にはなれない

2009年度以降、GPIFは毎年4~6兆円を年金特別会計に納付等をしている。仮にこの先もGPIFが年間4兆円の納付金を納め続けるとしたら、その資金を確保するために、ポートフォリオ上、毎年1兆円(=4兆円の25%)もの日本株を売却することになる。

年金資金が「売りの主体」として登場する可能性

これまで多くの人が「年金資金は株式市場における買いの主体」だと考えていたはずである。しかし、基本ポートフォリオの変更を終えた今後は、「株式市場での売りの主体」として登場してくる可能性があるという発想の転換が必要な時期に来ている。

日本では、6月23日の国民投票で、英国民の多くが「EU離脱後」を真剣に考えずに安易に「離脱」に投票したことを疑問視する意見が多くなっている。閣僚の間からも、国民投票はポピュリズム(大衆迎合主義)に陥る危険性があり、議会制民主主義にそぐわない手法であるという声も上がっている。

しかし、日本の公的年金の分野で、英国と同じような「安易な選択」が行われたことを問題視する声はなぜか上がってこない。

円安・株高という安易な期待から、国民の多くはGPIFの基本ポートフォリオの変更を好意的に受け入れてきた。「基本ポートフォリオの変更後」を全く考えずに。

しかも、実際に「基本ポートフォリオの変更」を主導したのは大学教授や専門家たちを中心とした有識者会議であり、英国のように大衆ではない。

ポピュリズムのリスクに陥ることを防ぐ立場であるはずの有識者会議が、一般大衆と同じように「基本ポートフォリオの変更後」を考えずに安易に「基本ポートフォリオの変更」を行ったという点では、日本社会が抱える問題の根は英国よりも深いといえる。

「EU離脱後」まで真剣に考えたとはいえない国民投票の結果は、英国のみならず世界中を混乱に陥れることになった。そして、それに端を発した金融市場の混乱による影響が、「基本ポートフォリオの変更後」を真剣に考えたとはいえない世界最大の機関投資家GPIFが生息する日本市場に最も大きく表れた。これは、当然の報いだったのかもしれない。

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