さらに、原発停止による経済の悪影響を懸念している人たちがいます。原発を停止させることで火力発電の依存度が高まり、LNGの輸入量が増えて日本経済に悪影響が出るというのです。
実際に、2012年11月の貿易統計によると5カ月連続で大幅な貿易収支の赤字が続いています。それならば、日本政府は米国に対し、安価なシェールガスの輸入交渉をすべきです。日本の電力会社がLNGを高値で購入し続けていることについて、私は疑問を感じています。米国では、シェールガスが採掘できるようになったために、天然ガスの価格が大幅に下がっているにもかかわらず、なぜ日本は高値で買い続けなければならないのでしょうか。
私は、ここに電力会社や政府の思惑があると考えています。電力会社は、高値でLNGを購入しても、燃料コストのほぼすべてを電力料金に転嫁できるわけですから、電力会社にとっては燃料費の増加など、痛くも痒くもないわけです。
むしろ、それによって電力会社にメリットが生まれます。それは、電気料金の値上げによって電力使用量が減少し、電力不足の問題が解消するということが一つ。もう一つは、原発再稼働やむなしの声が広がることです。
先にも述べましたように、国益を考えるならば、政府は安価なシェールガスを購入できるよう、米国と交渉を急ぐべきだと思います。米国にとってシェールガスは戦略物資ですから、「日本がTPPに参加しない限りシェールガスの輸出はしない」と言っていますが、交渉することは可能なはずです。
日本は、世界で唯一の核被爆国なのです。さらに、今回の福島第一原発の事故によって、再び核による甚大な被害がもたらされてしまいました。私には「原発は安全だ。再稼働すべきだ」と確信を持って言えることはないと思います。すぐに全廃するのが難しくても、工夫をしながら、脱原発に向けての歩みを進めるべきだと思うのです。
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