電力会社が原発を再稼働させたい会計上の理由
財務内容からは、東電が原発再稼働を望む理由も見えてきます。もう一度、下記の貸借対照表に戻り、「資産の部」の中の「原子力発電設備」という項目を見てください。平成24年9月末には、7241億円計上されています。
しかし、現在、東電管内では原発は稼働していません。もし、今後も稼働しないということが決まったら、この分を減損しなければならなくなります。例えば、10年後までにすべての原発を廃止することになったら、もう資産としての価値がなくなるわけですから、10年以内にすべて償却しなければならなくなるということです。これを減損処理と言います。
少なくとも、福島第一原発はもう使うことができませんから、減損処理を行う必要があります。すでにある程度は行っているはずですが、残りの原発に関しては、減価償却だけはとっていますが、減損処理は行っておりません。今後も原発は動くという前提で残してあるのです。
もし、原発を全廃することになりますと、この「原子力発電設備」に計上されている7241億円は失われることになります。さらに言いますと、当然のことながら核燃料も損失することになります。「資産の部」の中の「核燃料」に計上されている8343億円も減損処理しなくてはならなくなるのです。
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