新日本プロレスの経営改革を取材してみた グローバルエリートがリング・イン

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復活するプロレス人気:ミドルメディアのライブコンテンツ

「グローバルエリートやのに、椅子用意してくれへんのかい・・・」

後楽園ホールでの興行当日、報道陣としてお客さん扱いでリングサイドで見れると思っていたのだが、その日はあいにく会場がファンで埋め尽くされており、2時間半にわたって立ち見する羽目となった。それだけビジネスがうまくいっているという最近のプロレス人気の裏返しでもあるが、時間が経つのを忘れるくらい、意外と面白く観戦できた。

私と一緒に会場に足を運んだ東洋経済の編集者が、「なんかこれ、コンサートというか、ライブですよね!」と的を射た一言。そして「これはマスメディアコンテンツにはなりませんけど、ミドルメディアコンテンツにはなるんじゃないですか、この盛り上がりからして」と続ける。確かに大の大人が殴り合うエンターテインメントは万人受けしないが、数千人規模の観客が一体化して盛り上がっており、市場規模は決して小さくないし、ファンは極めて熱心な人たちが多い。

レスラーがお得意のムーブ(レスラーの得意のポーズ。スタン・ハンセンのウィー、ジャンボ鶴田のオー!、最近ではオカダ・カズチカの金降らせポーズがそれに当たる)を繰り出すたびに、観客も待ってましたとばかりに歓声やブーイングで呼応する。

これらは私が大学時代ついうっかり4年も費やしてしまったフラメンコで言えば観客のハレオ(掛け声)であり、歌舞伎や落語の掛け声や合いの手に当たる。ともかく観客とレスラーが一緒になってその場を盛り上げようとコラボレーションしている。観客と主演が一緒になって場を盛り上げる一体感はまさしくライブであり、コンサートであり、ロックの世界である。

急成長するライブビジネス

プロレスに限らず、過去数年でライブ市場は実に数倍の規模に成長している。デジタル化やオンライン化の反動で、リアルな世界でつながりたいという需要が増しているという。音楽市場でもCDや配信は激減したがライブの売り上げは急上昇している。ライブでのコンテンツはグッズ化やDVD、海外配信など多チャンネルで現金化できるため、そのライブ単体での売り上げ以上に重要な戦略的ビジネスとなる。

多様なメディアコンテンツが従来の垣根を越えて争う中、前述のとおり大の大人がバカヤロー、コノヤローと言いながら殴り合うプロレスは、決して一般受けするコンテンツではない。しかしニッチというには潜在的市場規模が大きく、ライブを中心としたミドルメディアコンテンツというのは妥当な表現であるように思う。

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