サヘル・ローズ「知ったかぶりは大嫌いです」 硬派なニュース、もっと読もう!
山田:耳の痛い言葉です。東洋経済オンラインのグローバルニュースは欧米と東アジアに偏重しています。それ以外の地域については「知ったかぶり」をしているのかもしれません。オイル、シリア、難民と言ったワードだけで知ったようなつもりになっていて、そうしたワードをつなぐ文脈や背景を理解していない。しかも、多くの読者がそれほど関心を持っていない、ということを「当たり前」と考えて、本気で取り組んでいない。これはちょっと良くないですね。
問題提起をすることが重要
サヘル:答えを出すというより、問題提起をすることが重要だと思います。読者には自分で考えてもらう。そして自分で答え探しをしてほしい。答えを最初からもらって、それを当たり前だと受け止めるのはよくありません。その答えは他人が書いた答えでしかないですよね。
あみだくじのように言葉をいろいろ組み合わせていって、「あっ、こういうことなんだ」と自分で納得できれば、自信を持って主張できる人間になれる。みなさんにそうなってほしいな、と思うんです。他人に左右されずに自分の意思を持ってほしいです。押し付ける必要はないですけど。
山田:答えを見つけたとしても柔軟性が大事ですね。「これはもう黒なんだ、それが結論だ」とか決めつけるのではなく、多面的な見方を持ち続け、時には柔軟に「やっぱり白だった」と修正できなければいけません。
サヘル:柔軟性は大事だと思います。そして多様性を認めあえるようになれば、差別意識や偏見もなくなってくると思います。人にはいろんな生き方があっていいと思うんです。
山田: メディアの問題は、どうしてもスパッと大胆に切り捨てるようなコメンテーターが人気を呼んでしまうことです。例えば世界の話をする場合、複雑な話をすっ飛ばして中国のこと、韓国のことを一言で説明してしまう大胆すぎる人がいかに多いことか。先ほどおっしゃった、「まるい地球の中で」という見方が、すぐ欠けちゃう。すぐに二国間の話ばかりしてしまう。
サヘル:スパーンとした意見のほうが気持ちいい。わかります。
山田:気持ちいいので、偏っていてもなんとも思わなくなってしまう。世の中はものすごく多彩で、価値観も多様。そんな一言で解決できるものではないですよね。
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