サヘル・ローズ「知ったかぶりは大嫌いです」 硬派なニュース、もっと読もう!

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サヘル:結局、皆さんにとって日本が自分の国だし、自分もそこの一員なわけです。その国のことを他人に任せっきりにせず、関心を持つべきだと思います。自分自身が直接はかかわれないかもしれないけれども、意思を持つだけで見えてくるものが変わると思います。平和ぼけしなくてすむと思うんです。今、なんとなく平穏に過ごしていますが、そのなんとなくは当たり前ではない。地球の裏側では、それすらうらやましい人たちがたくさんいるわけです。

つまり生きていることが決して当たり前じゃないということと、明日が来るということが当たり前じゃないということを考えてほしい。今を生きてほしいし、もっと今の情報を見てほしい。昨日でもなく明日でもなく。

山田:「今」ですか。

サヘル:とにかく「今」にちゃんと目を向けて、今の問題とちゃんと対話をしてほしいです。

山田:わかりました。これは読者へのメッセージであると同時に、編集部へのメッセージでもありますね。心するようにします。

最後にサヘルさんの目標を伺います。今は女優としての仕事に力を入れていますね。これは、なぜでしょうか。

生まれてきたことに対して自信を持ってほしい

サヘル:どうして、私が女優のお仕事をしているかといえば、大きな理由が三つあります。一つめは母への恩返し、二つめは児童養護施設を作るために情報発信力を高める、三つめは外国籍でこの国で成功したい女の子たちの道しるべになる、です。

児童養護施設を作りたいと考えている理由は、自分の家族のもとで生活できない、施設で生活している子どもってすごくたくさんいるから。子どもがどんな環境で育つかによって、大人になった時の状況がだいぶ変わってくる。一見普通の大人に見えても、心の中では小さな子どもがずっと大人になれずに悩んでいる人ってたくさんいると思うんですよね。インナーチャイルドを持っている人たちが。

家族のもとで育つか、そうじゃないかによって大きく変わると思うので、私はそうした施設の問題をもっともっと発言していきたいし、イランに「サヘルの家」という施設を作りたいんです。身寄りのない子どもたちを預かって、みんなの親になりたい。その子たちには、生まれてきたことに対して自信を持ってほしい。

山田:いつ作りますか。

サヘル:自分が60歳ぐらいになってから作りたいです。今作ろうと思えば作れます。ただ、中途半端に作るようなことはしたくない。「2、3年面倒見ました。でも、お金もいろいろかかるので、ごめんね、もう無理だから」って退散するようなことはしたくありません。

先ほどの女優のお仕事に力を入れている理由に戻りますと、今の最大の目標は女優業で賞をとって母にプレゼントすることです。女優としてちゃんと認めてもらえたら、自分が発言した時に周りが耳を傾けてくれるはずです。アンジェリーナ・ジョリーさんみたいに。今の私が何かを言ったとしても、まだまだ耳を傾けてくれる人って数が少ない。しっかりした電波塔になりたい。そのために、まず自分という塔を作らなければ何も発信できません。

山田:高い塔を作っていくわけですね。

サヘル:まだ背が低いんです。なので、いろんなものに阻まれてしまうので、いい意味でもっともっと高い位置に行きたい。そうすれば私が発信したものがいろんなところでキャッチされやすくなる。これが女優のお仕事を頑張っている2番目の理由です。

3番目の理由は役者を目指している外国籍の女の子のお手本になりたい、ということ。今、日本で純外国人の女の子として役者をさせてもらっているのは私しかいないと思うんです。ダブルの方はたくさんいるんですね。だけど、純外国人の女の子ってフィリピンのルビー・モレノさん以外まだいないと思います。

ない道を作るのは大変です。でも、作られたレールを歩くのではなく自分で道を作りたい。途中で終わるかもしれないけど、後ろで控えている、この国で成功したい外国籍の女の子たちの道しるべになりたいのです。

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