サヘル・ローズ「知ったかぶりは大嫌いです」 硬派なニュース、もっと読もう!

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作られたレールを歩くのではなく自分で道を作りたい

山田:だいぶ塔が高くなってきたな、という実感があるのでは? 東洋経済オンラインも塔が高くなってきたのかもしれません。だからサヘルさんが愛読していた。お互いの塔が低ければ、こうして話をすることもなかったかもしれない。

サヘル:周りの皆さんのおかげです。自分一人じゃ、とてもとても。人って自分一人じゃ生きていけないと思います。いろんな人に支えられてやっと今があるので、そういう方々にも恩返しがしたい。だからこそ、ここであきらめたくない。今、自分という人間を建設作業中です。

山田:ひとつ、お願いなのですが、ぜひ早めに児童養護施設をつくってください。60歳と言ったら28年後ですよ。

自分に合った一歩に

サヘル:今できることは、今やっています。大きな一歩を踏みだしてしまうと途中どこかで靴擦れして疲れてしまう。自分の肩幅に合った一歩ずつが大事です。「疲れたなあ」と思ったら立ち止まって、休憩をしていいと思うんです。次は二歩進もうという気持ちで休憩をするのであればいいと思っているので、大きく頑張ろうとは思わないんです。「やんなきゃ、やんなきゃ」は続かない。自分の気持ちいい環境の中でやれることをやりたいし、自分に合った一歩にしていきたい。

塔を高くしていきます!

山田:さきほど電波塔とおっしゃいましたけど、電波塔ではなく放送局かもしれませんね。電波塔は発信するだけ。宣伝塔というあまりいい意味では使われていない言葉もイメージしてしまう。伝えたいメッセージを発信することを目指している、という意味では放送局ですね。

サヘル:ただ電波塔には発信だけでなく受信の機能もありますよね。そこが大事だと思っているんです。これは私だけじゃなくて、一般の人もできることだと思うんです。自分の得た情報を今度は誰かに伝える、ということをみんなでしていけばいい。自分が関心を持ったこと、「いいな」と思ったものを人に伝えてほしい。

その際に他人の評価は気にする必要はないと思うんです。評価を気にしたら何もできなくなっちゃう。必ず「悪い」という意見はある。でも、その分「いい」という意見もあるんです。

山田:心傷つく時も、ありますよね。

サヘル:たくさんあります。そういう時は「夜の一部になりたいな」って思う。私は星とか月より、夜空が好きなんです。夜の真っ暗な中にいたいと思うのは、自分が暗ければ暗いほど、輝くものの背中を押せるから。だから私は影でありたい。影は本当に必要なものだから。

山田:星は濃い黒のおかげで光ってみえるわけですね。東洋経済オンラインの100倍ぐらい深い話ばかりでした。これからも、どんどん塔を高くしていってください。

(撮影:鶴田 真実)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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