「光」論争が激化 NTT接続料の行方
日本全国に敷設した光ファイバーの通信サービス拡大にひた走るNTT。しかし、その独走に他事業者から非難が続出。ヤマ場を迎える7年ぶりの接続料改定はどうなる?(『週刊東洋経済』12月8日号より)
「光ファイバーサービスの競争は進んでいる」
「いや、NTTの契約者純増シェアは8割。むしろ独占が進んでいる」
11月中旬に開かれた総務省・情報通信審議会の公開ヒアリング。大手通信会社の社長らが一堂に会して議論が繰り広げられた。テーマとなったのは「次世代ネットワークに係る接続ルールの在り方」。だが、議論の大半は、NTTが法律で貸し出し義務を負う光ファイバー設備の問題に費やされた。
ソフトバンクは、NTTから光ファイバーを1回線ごとに借りられない現行方式(8回線単位)が非効率だと強調。対するNTTは現行方式を変えれば自社サービスの展開に支障が出ると猛反発した。そこに割って入ったのが、自前設備でサービス展開する電力系事業者。「NTTの設備を安価に使うのは、設備競争政策を否定するもの」とソフトバンクを牽制、議論は複雑さを増した。審議会は来年3月に答申をまとめる予定だが、紆余曲折が予想される。
迫る7年ぶりの改定
ほかの通信事業者から貸し出し方式をやり玉に挙げられたNTTだが、実は、もう一つ「光」をめぐる頭痛の種を抱えている。光ファイバーの「接続料」が、それだ。
現在、他事業者に対する貸し出し価格は光ファイバー1芯当たり約5000円。「将来原価方式」と呼ばれる方法で算出したもので、NTTは過去に2001年から7年間の費用(主に減価償却費や保全費)と需要を予測、投資コストが回収できる水準として現行価格を設定した。
しかし「ほとんど光サービスがない時代に行った予測」(NTT関係者)だったため現実の需要は大きく外れた。一方で、ある程度先の需要を見越して回線を敷設してきたため、1芯当たりのコストも予測から外れてしまった(グラフ参照)。
年を経てもその差はいっこうに縮小しなかった。そのため、NTTからは「他社に貸し出す分の赤字までわれわれが負担している」「先行投資のリスクをすべてかぶっている」といった不満の声が漏れるようになった。もっともNTTとしても、そう簡単には値上げに踏み切れなかった。需要増加のペースを鈍らせたくないとの経営判断が働いたからだ。
とはいえ、現行価格の適用期間は07年度が最後。いやが応でも、NTTは来年度以降に向けて価格改定の申請を総務省に対して行う必要がある。NTT持ち株会社の三浦惺(さとし)社長も先の中間決算で「年内には認可申請の運びになる」と明言、業界関係者はその行方を注視している。