欧州発の金融危機に、日本株は脅えている 反発かさらなる下落か、ここは重要な局面だ

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今回の下落によって、日経平均株価のPER(株価収益率)は6月27日現在で12.8倍程度、PBR(株価純資産倍率)は1.04倍程度、予想配当利回りは1.98%程度と、バリュエーション(指標から見た割安度)の面からは、割安な水準まできました。

しかし、もし今後企業業績の下方修正があるとすれば、瞬間的に「今みえている割安感」は「嘘」になってしまいます。逆に言えば、円高などの影響があっても、それが思ったよりも企業業績に影響が出ないとなれば、株価はいずれ上昇するでしょう。

では、どちらのトレンドになるでしょうか。それは、しばらくマーケットの落ち着きを待つしかありません。ただ、お金をたくさん持っている企業はそう簡単に配当金を減額することはないでしょうから、インカムゲイン(投資に対しての配当)の見返りが十分にある株式には、以前よりも魅力が高まったことは確かではないでしょうか。

英国ショック後、意外な現象が起きていた

実際、これからの銘柄選びのヒントになる事象もみられました。6月24日は朝方相場が上昇した後、残留・離脱報道に一喜一憂するかたちで次第に下げ幅を大きくしたわけですが、終わってみれば、東証1部の主力株のほとんどがローソク足では「大陰線(=強い弱気のサイン)」でした。

しかし、週明けの27日も欧米株が下げた影響を受けると思いきや、先行して下げていた日本株には、買い戻しが入りました。そこでびっくりしたことは、24日の「大陰線」の高値を上回る銘柄が意外と多く、その中には、値動きが重い主力株も含まれていたことです。

筆者はこの現象を、よく「大逆転の陰線逆上がり(強気転換)」と言っていますが、前日の下げを帳消しにする動きは強いという意味で、これから別物扱いできる銘柄選定候補となりえます。

東証1部上場銘柄(優先株を除く)1963銘柄のうち、27日の値が24日の高値を上回ったのは、実に136銘柄もあります。そのうち業種でみると、小売業「30」、サービス業「17」、卸売業「13」、情報通信「10」、建設業の「9」が特に多く、これらで大半を占めていました。

いわゆる内需系の銘柄です。いくら円高警戒で内需シフトといっても、全体的にリスク回避になっている状態で、大混乱のあった24日高値を翌日早々に上回るなんて、特別な手が買っていないとまずありえない、と感じる動きなのです。

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