経済苦にあえぐ北朝鮮に変化の兆し? 新年の辞で19年ぶりの「異変」

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「現実発展の要求に合うよう経済指導と管理を改善しなくてはなりません」「勤労人民大衆が生産活動で主人としての責任と役割を果たすようにする原則で、経済管理方法を絶えず改善して完成していき、各単位で創造された良い経験を広く一般化するようにしなければなりません」とのみ触れているが、これは「これまでの新年共同社説での言い回しと大きく変わることはない」(礒崎氏)。

体制を維持しながら経済改革はできるのか

現在、平壌市内やその周辺では、軽工業関連の生産基地が新設されたり、既存施設の現代化が進められている。平壌市内では、お菓子工場やストッキング・靴下、ビールやジュースなどの飲料、化粧品などが生産されており、それまでの中国産より質がよいとして北朝鮮では人気となっているとも聞く。

朝鮮社会科学院経済研究所の李基成教授は、昨年秋に行った東洋経済とのインタビューで、「今後は軽工業向け製品の原料自給に力を入れる。原材料の半分以上は輸入に頼っているが、可能な限り国産化を図るのが目標」と述べ、それは少しずつながらも進められているようだ。

また、李教授は「社会主義の原則を守りながら最大の実利を得られるような管理方法を研究中」と述べた。新年の辞で述べられた「経済管理方法を絶えず改善して完成していき、各単位で創造された良い経験を広く一般化するようにしなければなりません」という部分からは、「モデルとなる『標本工場』の設備更新の経験だけではなく、経済管理方法についてさまざまなテストが重ねられているのでは」と前出の三村部長は指摘する。

核やミサイルの問題で国際的孤立が続く北朝鮮。その一方で、中国との経済関係の拡大は続いている。北朝鮮北部の羅先経済特区、開発が始まろうとする黄金坪など、中国とのビッグプロジェクトも始まったばかり。軍事的強硬路線を示す一方で、閉鎖された空間で人民生活向上の向上を具体的にどう果たしていくのか。北朝鮮の経済動向には、今後も注視していく必要がありそうだ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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