誤解だらけの生前贈与 必ずもめる相続税の話(1)

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

夫婦の間でも、贈与は贈与

3)贈与税がかからないように、年間110万円以下の範囲内で、家族の口座にお金を移している

預金の持ち主は「名義」で決まるわけではなく、また、家族名義の預金口座にお金を移したとしても、それが贈与とは限りません。

お金が移っただけでは贈与があったことにならないため、金額が110万円以下でも110万円を超えていても、そのこと自体には、何の意味もありません。

4)贈与の証拠を残すため、あえて111万円を振り込んで、税務署に贈与税の申告書を提出し、贈与税を1000円納めている

「贈与税の申告書を税務署に提出し、贈与税を納めていれば、それが贈与の証拠になる」というのは、よくある大きな誤解です。「あげた」「もらった」がなかったり、もらった人が自由に使えなかったりするのなら、財産をもらったとはいえません。申告書や税金は、誤って提出された申告書であり、誤って納めた税金です。

お給料をもらった事実もないのに、所得税だけを払えと言われたら、払うでしょうか。それでは順序が逆ですね。贈与の事実がないのに、贈与税を納めるのは、それとまったく同じこと。贈与税の申告や納税だけは、贈与の証拠にはなりません。贈与税の申告納税をしていても、贈与があったと認めてもらえないケースもあるのです。

次ページ贈与税を納めれば証拠になるわけではない
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事