このことは、アメリカで実際に観察された。2010年11月に、非伝統的金融政策の第2弾として、6000億ドルの国債購入が決定された。これは、「QE2」と呼ばれる。
ところが、10年国債の利回りは、これによって下落するのでなく、逆に上昇した(図)。
すなわち、QE2実施前の10月には2.5%程度に低下していたが、QE2開始直後の11月から上昇を始め、12月には3.29%になった。その後も上昇が続き、11年2月には3.58%になった。こうなったのは、QE2によってインフレ期待が上昇したためだといわれる(実際に、インフレ率は、QE2前の1.2%から、3.1%に上昇した)。このため、QE2はアメリカ国内の投資を増加させる効果を持たなかった。
利回りはその後低下したが、3%台が続き、QE2以前の水準の2%台に戻ったのは、QE2終了後の11年8月になってからである。11年に低下したのは、ユーロ金融危機の影響で南欧国債から逃避した資金がアメリカに流入したためと考えられる。なお、図に示すように、2年国債についても、ほぼ同様の動向が見られた。
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