気になる円高の影響はどうか。
コマツの場合、海外売上高が全体の約80%を占める一方で、コストは国内と海外で半々。その差の約30%分が為替の影響を受けることになる。それはキーコンポーネント(基幹部品)を国内から海外に輸出している分にほぼ相当する。円高に対しては、過去にも原価低減やコスト削減で対応してきたほか、為替相場を見ながら適宜、クロスソーシング(世界最適調達)も行っており、今後も粛々と対応していく考えを示した。
ちなみに、2016年度の為替想定は1ドル=105円(前期は120.8円)、1ユーロ=119円(同132.4円)。1ドル1円の円高で約25億円、1ユーロ1円の円高で約4億円のそれぞれ営業減益要因だ。2016年度に28%の営業減益が見込まれる最大要因がこの円高である。
建機全体の3割はICTにしたい
取締役賞与については、株主から「取締役10名に対して総額1億9200万円(うち社外取締役3名に対して総額900万円)というのは、利益が減っている中で多すぎる」との意見がなされた。これに対して経営側は、ベンチマークとしている国内主要メーカー30社の役員賞与との比較でも、コマツは業績連動の傾向がより強いことなどを指摘して、株主の了解を得た。
総会の終了後、昨年に続き、今年もICT建機の展示会を開催。本物の最新型油圧ショベルなどを会場に運び、コマツが進めるスマートコンストラクションの現状を株主に説明した。スマートコンストラクション推進本部本部長を務める、四家千佳史・執行役員はコマツの強みについて、「他社に先駆けて顧客の現場でさまざまな経験を積み、建機の性能だけではなく、調査、設計、施工、施工後に至る工事プロセス全体にわたり、顧客の生産性を向上させるためのソリューションを実現してきた」と話す。
さらに今後の目標について四家氏は、「国内に実在している建機約30万台のうち、ICT化されているのは1000台強であり、まだごくわずか。今後5年間ぐらいでは、当社の建機全体の3割ぐらいまではICT建機にしていきたい。そのためにも生産性が上がってお客さんが儲かる建機を提供したい」と語った。来期以降の復活に向けて、コマツは確実に手を打っている。
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