節税と資産フライトの真実、教えます

富裕層のシンガポール移住は損か得か

リー・クアンユー氏は1965年に建国して以来、日本をお手本にしてシンガポールの発展を目指してきた。従って日本文化への関心は高く、親日家の多い国だ。今や若い人の間では日本のアニメやJ-Pops、ファッションが好まれている。日本の駐在員が多いことから日本食が他の外国よりもおいしくいただけるし日本のスーパーマーケットが早くから進出してきたことも日本びいきを増やした原因だ。

また、教育環境が優れているからシンガポールに移住した駐在員たちは子供の教育をシンガポールで受けさせてやりたいと思っている。英語教育と中国語教育を受けさせながら日本語学校にも通わせるので国際人に育てるにはもっとも良い環境だといえよう。

アメリカの投資家であるジム・ロジャーズ氏は、07年に家族と共にシンガポールに移住した。21世紀は中国を中心に回るから、目的の一つは子供たちに中国語教育を与えることだったといっている。

駐在員が帰りたくない国のナンバーワン

もう一つ驚く事実は、シンガポールには2年間の兵役制度があり、しかも防衛予算が世界でNo2だということだ。もちろん、それは人口1人あたりの予算での話だが、1位はイスラエルで3位はロシアだ。その次に教育予算に力を入れている。教育予算が多いので欧米の医師免許を取ったシンガポール人が多く、医療水準は日本と同程度のレベルにあるとされる。

私自身はこれまで100カ国をまわってきたが、食事の面では安くてうまいシンガポール料理だけでなく、中華料理、インド料理、マレー料理といった各民族の伝統料理を、「ホーカーズ」と呼ばれる屋台から高級店まで、様々なスタイルで楽しんでいる。

国際都市であることからフレンチ、イタリアンなど、世界各国の料理で見つからないものはない。それゆえシンガポールに住んでまず飽きることはないのだ。駐在員の奥さんたちは例外なく帰国の話が出た時に「帰りたくない」というらしい。仕事は旦那で自分はゴルフ、麻雀、グルメ、広いコンドミニアムの家事は女中さん任せだから当然でしょうな。

これだけ、移住する条件がそろっていれば、これからは日本の企業だけではなく、個人事業主も「節税」プラス「アセアン市場開拓」のために移住者が増えるのは確実である。ただ、世の中にこれほど良い情報ばかりが溢れていること自体が不自然な気もする。

もういちど、シンガポールと日本の主な個人税制の比較をもう一度おさらいしてみたい。

個人人所得税= 最大20%に対し、日本は最大40%

国外源泉所得= 非課税に対し、日本は課税対象

住民税=非課税に対し、日本は10%+4000円

相続税=非課税に対し、日本は最大50%

贈与税=非課税に対し、日本は最大50%

キャピタルゲイン税=非課税に対し、日本は原則20%

イインカムゲイン税=非課税に対し、日本は原則20%

シンガポールでは日本同様、「基礎控除」「配偶者控除」など、さまざまな人的控除が認められているため、税負担はさらに抑えられるのだ。

以上を経済合理性だけで判断すれば、シンガポールに投資法人を設立して自身の資産形成を行なうことは、まさに一石で何鳥にもなる合理的な選択といえるだろう。

次ページさて、結局は移住したほうがおトクなのか?
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