問題はBREXITイベントの「その先」だろう。現在、日本株市場は沈滞し売買高が極端に細っているが、これは外国人投資家が日本市場に興味を失ってしまったからだろう。
ドル高シナリオが描けない日本株
日本株は、残念ながらドル円の変数としかみなされておらず、円安とならない以上、日本株を買う理由もない。仮に英国民投票で「残留」となり、多少リスクオンが戻り、ドル円が107-108円に上昇したとしても、そこから上に継続的にドル円が上がる見通しがたたない。
その理由の一つには、米金融引き締め路線が頓挫しかけているからだ。多くのFOMC(米公開市場委員会)メンバーが利上げキャンペーンを行い、イエレン議長自らも「数カ月」以内の利上げを示唆したのだが、5月雇用統計の極端に悪い数字で頓挫してしまった。
6月15日のFOMCでは、FOMCメンバーが示すドットチャートが下方修正されたが、もう恒例となった感がある。利上げ意欲は強いが、結局自らの経済見通しが甘かったことを認め、下方修正してしまう。
FOMCメンバーは市場をミスリードしていると批判されても仕方ないだろう。現状では、年内の利上げも危うくなったし、(おそらくブレイナード氏と思われるが)2017年、2018年と向こう2年間利上げなしを見込むメンバーも出てきた。
もう一つは、どんどん低下する、日本の「期待インフレ率」だ。すっかりデフレ経済に戻った感がある。それ故、7月29日の日銀政策決定会合において金融緩和を予想するエコノミストは多い。
しかし、金融緩和すると言っても、何をするのだろうか。量を80兆円から100兆円に増やした所で何か変わるだろうか? マイナス金利はデフレ的との指摘もある。日銀の佐藤健裕(たけひろ)審議員は、釧路での講演において「マイナス金利政策は緩和効果をもたらすどころか、むしろ 引き締め的であるとも考える」と言い切った。
「バズーカ1」(2013年4月)、「バズーカ2」(2014年10月)で金融市場が劇的に動いたので、金融緩和さえすれば、金融マーケットをどうにでも動かせるという「奢り」が当局にあったのではないだろうか。
違いは一つ、ポジションの積み上がり具合だ。つまり、過去の金融緩和で、シフトできるお金は既にシフトしてしまったので、追加の金融緩和があったとしても、動かせる資金がないのだ。
もっと言うならば、円安になったら逃げたいと思っている。困った人がより困った方向に行くのがマーケットであり、例えBREXITが「残留」となり、その結果リリーフラリーがあり、しかも日銀による追加緩和があったとしても、その先の展望は現状見えない。米金融引き締め頓挫と、日本の期待インフレ率低下により、円安への展望は見えない。
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