利益倍増!LCC「ピーチ」はどうして強いのか 井上慎一CEOを直撃、「まだまだできる」

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ピーチの拡大戦略を語った井上慎一CEO。「つねに新しいことをやっていく」 (撮影:尾形文繁)
ここ数年、観光客の足として急速に広まったのがLCC(格安航空会社)。大手航空会社の3分の1程度という格安運賃が売りだ。単一機種の航空機で整備費などを抑え、なるべく多くの座席を配置することで安さを実現している。そして1機当たりの運航頻度と搭乗率をできるだけ高め、収益を確保する。
このビジネスモデルを「愚直に実践してきた」と話すのが、関西国際空港に本拠を置くピーチ・アビエーションの井上慎一CEO。日系LCCの中でいち早く黒字化を果たし、その後も業績は絶好調だ。2015年度決算は3期連続の増収増益。燃油費下落の追い風は大きいが、新規路線の開設や既存路線の増便のほか、86.7%という高い搭乗率を維持したことが効いた。一段の成長を目指す戦略について、井上CEOに聞いた。

 

――2015年度の売上高は前期比約3割増の479億円、営業利益は同2倍以上の61億円。3期連続の増収増益で、営業利益率は約13%と航空業界でも高い水準だった。

規模が拡大し、全体に占めるコストの割合が下がっている。かなり高い数字が出たと思う。ただ、われわれがベンチマークにしているのが欧州の大手LCC、ライアン・エアーやイージージェットといった会社。彼らは20%ほどの利益率を出しているので、これくらいはできるという感覚がある。

そこに追いつくためには、事業規模を広げる必要がある。そして航空機の稼動を上げる。いかに多く飛ばすかがカギになる。1機当たりの1日の稼働時間は約10時間で、国内のエアラインではすでに高いほうだ。

海外にも拠点を作っていく

――規模の拡大に必要な次の一手は何か。

2016年度は座席の生産量(座席数×飛行距離)を2~3割伸ばす。新規路線の就航ももちろん含まれている。あちこちの空港が混んでいるので、なかなか思い通りに行かないのだが。

中長期的には(航空機を駐機できる)拠点を拡大していく。関空、那覇に続き、来年の夏には仙台を第3のベースにする。そこから国内線、国際線ともに運航することを考えている。その先は海外でも拠点を設けていきたい。具体的な場所はまだ話せないが、基本的にはアジア。保有しているエアバス製「A320」で飛べる範囲、つまり日本から片道4時間が前提だ。

日本からどこかの拠点に飛び、またそこから別の就航地へと飛ぶ。ピーチは「空飛ぶ電車」になるというモットーがあるが、まさに電車の乗り換えのような感覚で国内外のお客さんが行き来するようになるだろう。

2020年には事業規模を倍にしたい。航空機も現在の17機から倍以上に増やす。海外を見れば同じような拡大策を進めるエアラインがある。他社がやっていることは「Yes, We can」。自分たちにできないことはないだろうと。大事なのは自分で勝手に限界を作らないことだ。

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